大阪朝高、「花園」4強入りに思う
広告
大阪朝鮮高級学校、初の決勝進出ならず―。既報のように、第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会の準決勝が5日、大阪の花園第1グラウンドで行われ、大阪朝高は12―40で神奈川の桐蔭学園高校に敗れた。
3日の準々決勝に続いて、準決勝も心を揺さぶられる試合だった。桐蔭に先制されたが、大阪朝高はすぐさま逆転。ふたたび相手に先行されたが、ハーフタイム直前に同点に追いついて前半を12-12で折り返した。連覇を目指す強豪・桐蔭を相手に一進一退の展開。後半、「いける」とがぜん期待が高まった。
しかしハーフタイムを挟んだ後半、桐蔭は地力を見せつけ4連続トライ。大阪朝高を一気に突き放した。悲願の決勝進出へ、大阪朝高3度目の挑戦も実らなかった。
しかし第89回大会(2009年度)、第90回大会(2010年度)に続く、10大会ぶりの4強は本当に立派だ。間違いなく、朝高ラグビーの歴史に名を刻んだであろうたたかいぶり。それにしても、今回を含めて3回進出した準決勝の相手がいずれも桐蔭学園で、3回とも決勝進出を阻まれるとはなんという因縁か。
全世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大によって世の中の雰囲気が暗く沈む中、大阪朝高の快進撃は観る者の心を熱くさせてくれた。SNSで朝鮮学校関係者、在日朝鮮人のラグビー関係者のみならず日本のラグビーファンからも大阪朝高のたたかいぶりを称える投稿が相次いだことがうれしかった。
すでに多くの人々が指摘していることだが、大阪朝高ラグビー部の今年度の部員数はマネージャー2人を含めた41人。3年生が引退した後は、選手は半数以下に減る。練習環境も強豪校に比べると雲泥の差だ。
大阪朝高ラグビー部の今季のスローガンは「使命」だという。「同胞たちに力と勇気を、後輩たちに夢と希望を」「花園で活躍する姿を見てもらい、朝高でラグビーがしたいと思う子を増やしたい」。高校生たちが自分のことだけではなく、学校や後輩のことを考えてプレーするのは本当に立派だと思う(一方で、個人的には、そんな「重荷」を背負わず自分たちのために心置きなくプレーできるようになればいい、と思っている)。
今回の大阪朝高ラグビー部の4強入りを「感動した」で終わらせてはいけない。朝鮮学校を取り巻くさまざまな問題を解決し、かれらの後に続く子どもたちが思う存分プレーできる環境を作ってあげること―私たち大人が、かれらのがんばりに応える番ではないだろうか。(相)