垣根なく、子どもたちの絵を~連合児童作品展覧会を観に行って
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先日、東京都墨田区の「令和二年度 墨田区立小学校 連合児童作品展覧会」(主催:墨田区教育委員会、墨田区立小学校教育研究会/会期:2021年1月20~22日)に東京朝鮮第5初中級学校の生徒たちの絵も展示されているということで、観覧チケットが届いた翌日に早速行ってきました。
展覧会のテーマは
「❝~たい!❞からはじまる図画工作」―子供の思いを感じよう―
各学校から代表で20人の児童たちの作品が会場となった第三寺島小学校の体育館に展示されていました。
体育館いっぱいに拡がる子どもたちの作品は、いまの社会を雄弁に語っていました。
マスクをした友達の絵、新薬を開発したようす、コロナに負けない思いを描いたもの。
やはり子どもの心のなかにも、いまの現状が落とし込まれるのだなと思いながらも、
それを自分たちの表現で作品にできることに驚き、興味深く観覧しました。
それ以外にも子どもの伸び伸びとした表現がつまった絵や工作などがありました。
大木が風にゆれる自然のようすを描いたものや、学校生活を生き生きと描写した絵など、
閉塞された世界でも、気持ちのいい風が吹き込まれるような感覚を感じました。
第5の美術教師である金聖蘭先生によると、連合児童作品展覧会には、東京朝鮮第5初中級学校は1995年から参加しているとのことです。
「連合展には1995年から参加しているんですよ。阪神淡路大震災が起きた日が搬入の日と重なります。
始まりは、両国小学校の図工の先生、中村安子さんが第5にやってきて、だしませんかと。私のオモニと同い年の女性教員でした。
これがきっかけで東京都の国際理解教育の実施校だった両国小学校と合同授業をしましたが、合同授業について東京都のパンフレットにも掲載されたりと、大きなイベントになりました。
最初にウリハッキョに1人で来られた中村安子先生の行動力に圧倒されます。
年の差がありましたが、とても率直で明るい方で、一緒に仕事をする楽しさがありました。
どちらも担任の先生たちを巻き込んで体育館で大きな空間構成の作品を作り上げる合同授業までやり遂げた時には達成感が大きかったです。
これをきっかけにいろんな交流が始まったんです!
その後、学校同士、教員同士の交流が続いたのですが、2002年に終わってしまいました。
学校、教員同士の交流がとても良い形で続いていたのに、本当に残念でした。
中村安子先生とは今も連絡を取り合う仲です。中村安子先生の呼びかけで始まった連合展の参加が2002年以降も続いている事に大きな意味があると思います」(金聖蘭先生談)
1998年秋の「未来企画通信 第5号」という冊子に合同授業のことが紹介された記事がでていたので、転載します。
話を聞いて、記事を読み、当時の合同授業取り組みが、素晴らしく有意義なことだったのだと改めて思いました。
子どものときから、異文化と交流するのはその後の未来にも関係することなので、とても重要で有意義な取り組みが行われていたのだと
当時の紹介記事を読みながら、思いました。やはり人と人との出会い、つながりが大きなパワーになるのだなとも。
展示場では、日本学校の保護者も朝鮮学校の絵を観覧する様子がみれました。
こうして、朝鮮学校の子どもたちの絵を展示することで、他の区立学校の保護者も朝鮮学校という存在を絵を通して知ることができるのはとても素晴らしいことだなと、朝鮮学校保護者として嬉しく思いました。
垣根なく、絵を通して子どもたちの心を観れる場。
金聖蘭先生のおっしゃるように、このような連合児童展覧会参加を26年間続けることの大きな意味を感じました。(愛)