VOCA展2021、3月12日から
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VOCA展2021で奨励賞を受賞した
鄭梨愛さんの作品が展示
若手作家の登竜門といわれるVOCA展2021で奨励賞を受賞した鄭梨愛さん(29)のインスタレーション作品「Vision」が、東京・上野の森美術館で3月12日から始まる「VOCA展2021 現代美術の展望―新しい平面の作家たち―」で展示される。https://www.ueno-mori.org/exhibitions/voca/2021/
鄭さんは、一世の祖父の肖像を通して、二世代に遡る祖父母の記憶、その先にある朝鮮半島の近現代史を見つめ、歴史に連なる「自身の実存」を社会に投げかけてきた。
受賞作は、横3㍍×縦1.5㍍に及ぶ半透明の布が5枚連なったインスタレーション作品。
母方の祖母の若いころの写真が1枚目に、祖母が娘をあやす姿、病床にふす祖父、と順に映し出される。
4枚目は墓地に向かう林道が、5枚目には故郷・全羅南道の墓が立ち現れ、薄い布には朝鮮半島に伝わる弔いの歌「サンヨソリ(喪輿歌)」と「鳳仙花」の歌詞が刻まれていた。「二つの歌には、歌うことで『死』が共有されていく希望のようなものを感じ、人々が不条理な出来事を前にどう感情を治癒していくのかを考えました」(鄭さん)
鄭さんが祖父の肖像画を描きだしたのは、祖母の葬式で見た祖父の「老いた姿」に衝撃を受けたことがきっかけだった。描きながら祖父が一世だということも知った。
筆をとることで祖父母と出会い直している―。描いた肖像画には、まるで隣にいる一世が起き上がって話しかけてくるようなリアリティが宿り、見る者の記憶を呼びおこす―。
今回のインスタレーション作品にもこの思いが貫かれている。展示は3月30日まで。(瑛)
VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─
会場:上野の森美術館(JR上野駅徒歩3分)
会期:3月12日(金) 〜 30日(火) ※会期中無休
開館時間:10:00 〜 17:00(最終入場閉館30分前まで)
入館料:一般800円/大学生500円/高校生以下無料
*各プレイガイドでのチケットは、1月26日(火)10:00から販売
主催:「VOCA展」実行委員会/公益財団法人日本美術協会 上野の森美術館