過去の読書体験を振り返る
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4月号の特集は、「ウリハッキョ図書室ツアー」。
イオ4月号では、読み聞かせの持つ意義や、さまざまな工夫が凝らされている朝鮮学校の図書室、個性ある取り組みが紹介されている。また、朝鮮語講師・李明玉さん、九州無償化裁判弁護団の清田美喜弁護士の、小中高生向けのおすすめ本紹介も必見だ。
筆者は川崎朝鮮初級学校で10年以上続いている読み聞かせ「トトリ」の打ち合わせを取材したのだが、印象的だったのは、読み聞かせ後に子どもたちに感想を聞かないということ。「『感想を言わなくては』と思うと、本の世界に没頭できなくなる。その日の読み聞かせで、何も感じない子どもだっていますしね」という言葉に、(確かに!)と、かなりうなずけた。
子どもの目線に立って、読み聞かせを聞く・本を読むことへのハードルを一切設けないのは、すてきだと思った。
さて、記者になったからか、コロナ禍で外出や人と会うことの自粛ムードが広まったからか理由は定かではないが、図書館によく通うようになった。家では仕事がはかどらないし、かといってカフェに通い続けると出費がばかにならないから―という理由で通いだしたが、最近は仕事帰りに図書館に寄り、閉館まで作業をしたり、新聞や雑誌を読み漁ったり、休日も図書館で読書をすることがよくある。
4月号の取材を機に、昔読んでいた児童書が懐かしくなったので、図書館で漁ってみた。
『こまったさん』も『わかったさん』も、ファンタジーだ。現実世界から、徐々に不思議な世界に引き込まれる感じが好きだった。
これらの本を借りに、昔はよく図書館に来ていたことを思い出した。
図書館にはなかったが、『マジックツリーハウス』シリーズはかなり集めていた。ツリーハウスに乗って、サバンナやパリ、タイタニック号、ポンペイ大噴火など、時空を超えて世界中を旅するという、どストライクなストーリーだ。映画やドラマもそうだが、シリーズものが好きなのはこの時からみたいだ。
中学に上がると、冒険ファンタジーに動物要素が加わり、『ナルニア国物語』シリーズを制覇した。
高校時代は、家から学校まで、超満員電車で1駅の距離だったので、本を読む機会がぐんと減った。大学時代は『レ・ミゼラブル』のほか、短編小説などをちょこちょこ読んでいた―ぐらいだった気がする。
実は、大学時代、興味本位で買った本を、「怖い」「趣味が変」と言われて、読まずに卒業時に処分したことがあるのだけど、先述した「トトリ」の打ち合わせの場で、「栄養と同じで、好き嫌いせず、興味を持った本をあれこれ読めばいい」という言葉を聞いて、救われた気がした。ちなみに、処分した本は、イオ2020年6月号で紹介されていたので、そこでも救われた気がした。笑
記者になり、本や資料を読む機会が一気に増えたのだが、それでも拒否感なく、読みだしたら没頭できるのは、昔の読書体験があったからかもしれない。