記憶の連想力―ジェダイ疑似体験記
広告
レム睡眠の時に大脳が動き、その日の記憶を整理する。その時は眠りが浅く、眼球が活発に動き、意識は起きているときと同じ状態になる―これが「夢」の正体だと聞いたことがある。
一昨日見た夢の中で、私はスターウォーズの世界にいた。スターウォーズを知っている人にしか通じない話になるが、少しお付き合い願いたい。
◇◇◇夢の話◇◇◇
私の役柄は、パダワン(ジェダイの一歩手前)の設定だった。
舞台は、どこかの森。そこに、まな板と野菜がある。
誰かから、「このライトセーバーで、これで野菜を切ってください」と、駄菓子屋でよく見かけた「アレ」を手渡された。
夢なのでツッコミどころしかないのだけど、
まず、シリーズごとの主人公のように、青年期にジェダイの素質を見出された人は、山を走り回りながら体力をつけ、崖を登ったり、バランス感覚を養ったり、木の棒などで戦術をしっかり身につけ、体を鍛えぬいてから、やっとライトセーバーを受け取れるはずだ(それも、丁重に)。
それなのに、こんなにもあっさりライトセーバーをもらっていいのか。
しかも、とてもダサい。思っていたのと違う。そもそも、これで野菜が切れるわけがないし、なぜジェダイの訓練が野菜切りなんだ…と、文句たらたらで「アレ」を振っていると、「集中や。精神を集中させるんや」と関西弁の天の声が聞こえてくる(もしかすると、ヨーダだったのかもしれない)。
天の声に従って集中すると、「アレ」がライトセーバーのように赤く光り、野菜を切ることができた。
切れた!という感動と同時に、まさかのダークサイド(赤い光=帝国軍、悪役)だったことに驚きを隠せない。
―――(中略)―――
急に場面が変わり、私は宇宙船の中にいたのだが、ストームトルーパーが入ってきて、帝国軍との戦いが始まりそうな雰囲気に。
すると、エピソードⅡあたりのオビ=ワン・ケノービが出てきて、「これで戦え」と、ライトセーバーをくれた。今回は本物の、シルバーと黒の柄のライトセーバーだった。そして、オビ=ワンはどこかへ去っていった。
受け取ったライトセーバーは、またもやダークサイドのものだった。
(まだ戦術がなにひとつ身についてないんですけど)と、相変わらず文句たらたらの私。戦う勇気がなかったので、物陰に隠れながら、(こんな時にジェダイ・マスターたちはどこへ行ったのさ!)と、ジェダイの上司たちに不安を募らせながらも、(いやいや、待てよ。ダークサイドにいるんだから、帝国軍と戦う必要がないのでは…)と、どうにか生き延びる方法を考えながら、夢から覚めた。
◇◇◇
…最後まで文句たらたらで、どこまでも保身に走る若きパダワンだ(笑)。
活字にしてみるとやはり、奇異で、非合理的で、ツッコミどころ満載である。
さて、冒頭で書いた「寝ている間にその日の記憶を整理する」という話だが、なぜこのようなストーリーの夢を見たのかを一日中考えていたら、記憶のとんでもない連想力にたどり着いた。
まず、ライトセーバーとして登場した、コレ。
駄菓子屋で昔よく見た、用途不明のおもちゃとして筆者の記憶に刻まれている、コレ。
振り返ってみると、前日、後輩と駅まで一緒に歩いていた時のこと。
会社が母校の近くにあるので、かつての通学路を歩きながら、「以前はここに駄菓子屋があって、学生時代によく行った」という話をしたのである。
次に、「野菜を切る」という場面。
前日に夕飯を作りながら野菜を切っていたので納得。
しかし、前日にスターウォーズのことを考えた場面はなかったはずなのに、なぜこの二つがスターウォーズという設定で展開されたのか―ということを昨日、一日中考えていたのだが、寝る前、歯を磨きながら、やっとわかった。
前日も同じく、歯を磨きながら、洗面台に映るTシャツのキャラクターをなんとなく眺めていたのだ。
やはり、好きなものに目が行くものなのか。
ほんの一瞬、Tシャツのキャラクターを見ただけで、記憶を連想させ、スターウォーズをベースにストーリーを作るなんて、私の記憶力もあっぱれである。
ただ、自身のキャラ設定と言い、もう少しましなストーリー構成はできなかったのだろうか。(蘭)