『続々 私たちの東京朝鮮第三初級学校物語』
広告
素敵な本が届いた。
『続々 私たちの東京朝鮮第三初級学校物語 新校舎建設編 2018-2021』。
生涯をかけて『朝鮮学校のある風景』を出版した金日宇さんが急逝したのが、2019年10月。
日宇さんは、編集部にもよく差し入れを持って訪ねてくれ、いろんな話を聞かせてくれた。
朝鮮半島をめぐる情勢にも詳しかったが、2000年代からは「朝鮮学校の歴史を残す」ことをライフワークにされ、日本各地を回り、声を刻まれていた。会うたびにその時々に取り組むテーマを聞かせてくれ、その旺盛な取材欲に静かに感動していた。金さんの足取りは、すでに出版された『朝鮮学校のある風景』に詳しい。
なかでも母校・東京第三初級への思いは深く、2005年頃から証言を集められ、
2007年4月に『私たちの東京朝鮮第三初級学校物語 証言編 創立―20期(1945―67)』、
2010年2月には『続 私たちの東京朝鮮第3初級物語 体験記録編 1945―2009』を出版。
今回出版された『続々』編には、2020年に完成した新校舎建設までの軌跡と、建設に携わった人たちの思いがまとめられている。3部作は、日宇さんの思いを引きついだ金淑子さんによって完成された。
淑子さんから本をいただき、巻末のインタビューを一気に読んだ。
2009年の耐震強度調査で校舎が基準値に満たないことが判明、10年には土地の所有者から賃貸契約条件の見直しが提案され、厳しい状況に置かれた東京第3。伝統ある「チェーサム」がなくなってしまうのではないか、という不安と心配が地域社会を襲ったという。
新校舎の建設事業に立ちあがったのは40代の同胞たちだった。インタビューを読んで驚いたが、建設委員たちは、日本学校出身、朝鮮学校出身といえども静岡、山形、都内の他の学校出身など、さまざまだった。
自身の生い立ち、親の教育への考え方、朝鮮学校に通っていたときの悲喜こもごも…。
「学校を建てる」という大きな事業を前にした戸惑いと決意…。
何より、地域社会の未来を切りひらくという大きな目標に向かって、
地域の思いを包み込み、時にしんどく抱えながらも、前へ進んでいく姿が胸に迫ってくる。
建設委員の多くが筆者の年齢に近いということもあるのだろう。
学校を運営していくうえでの率直な悩み、困難が立ちはだかった時に、もがき、考え抜いた姿、そして決心…人々の息づかいが感じられ、胸が熱くなる。
学校創立から75年。朝鮮学校の歴史を記録する作業は、各地で行われてきたが、これほど多くの卒業生、教員、支えてきた人の声を集めた本は東京第3初級をおいて他にない。
3部作セットは限定40セット。金淑子さんの案内文をご紹介する。(瑛)
==============================
金日宇が通い続けて書き溜めたルポに、彼のバトンを引き継いだ私が取材し、インタビューした内容を加えて本にしました。
草創期の関係者インタビューから始まった『私たちの東京朝鮮第三初級学校物語』三部作の完結編です。
57年前、(校舎建設)工事中の屋上に上り、卒業記念写真におさまった日のことを思い出した。周りは木造二階のモルタルの建物、鉄筋コンクリートの建物と言えば、日大病院だけ。周囲で一番高い建物だ。『朝鮮学校、ボロ学校』とはやし立てていた板橋十小の木造二階建ての校舎が眼下にある。みんな泣いた。『ボロ学校」と言われ、下級生をかばいながら必死で『入ってみたらいい学校」と言い返さないでいいのだ。(金日宇 88㌻)
そして今回は、校舎建設をめぐる長かった紆余曲折の日々を乗り越えて、40代後半の若い世代が立ち上がったのです。
校舎に込められた様々な人々の思い…。ぜひご一読ください。
<購入方法>
下記口座に料金(新校舎建設編1,500円+送料250円、三冊セット5,000円(送料込み))をお振込みの上、
メール(hanal1drop@yahoo.co.jp)またはFAX(03⁻6279-3356)、メッセンジャーにて、①ご希望の本、②氏名、③住所、④電話番号をお知らせ下さい。ご入金確認しだいお送りします。
振込先:三菱UFJ銀行 神楽坂支店 (普) 0207594 キンヨシコ