DHC、自社サイトから差別文書を削除も謝罪、経緯説明はなし
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化粧品・健康食品販売大手DHCの公式オンラインショップ上に吉田嘉明会長名義で載っていた在日朝鮮人に対する一連の差別文書が5月31日までにすべて削除された。
DHCが自社サイト上に差別文書を掲載している問題については、本ブログ「日刊イオ」でも4月に報じた。https://www.io-web.net/ioblog/2021/04/14/84819/
差別文書掲載の始まりは、昨年11月に載った「ヤケクソくじについて」という文章。自社のサプリメント製品の優位性をアピールする内容だが、その中で吉田会長はサプリメントの販売で競合するライバル企業のサントリーについて、同社の「CMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人」「ネットではチョントリーと揶揄されている」「DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本人です」などと在日朝鮮人に対する蔑視表現を使った。
根拠を示すこともなく、特定の民族や国籍を差別する言葉が並べられたこの文章は「在日コリアンへの差別」「明白なヘイトスピーチ」などとTwitterなどのSNS上で抗議の声が噴出。12月に入って、DHC製品の不買を呼びかけるハッシュタグがトレンド入りするなど大きな話題となった。それにもかかわらず文書がサイト上から削除されることはなく、今年4月と5月にも新たな差別的な文章を追加で掲載していた。
この問題をめぐっては、災害時にDHCのサプリメントや化粧品の供給を行う協定を締結している自治体の中から、吉田会長の差別発言を批判し、協定の解消・中断を含め同社との関係を見直す動きが広がっている。メディアの中でも新聞折り込み広告の拒否やスポットCM枠の販売取りやめの動きが出てきている。
また、取引先の企業からも批判の声が上がっている。NPO法人多民族共生人権教育センター、部落解放同盟大阪府連合会、部落解放大阪府民共闘会議の3団体は4月29日付でDHCの主要取引先銀行、同社の商品を販売している小売店・ドラッグストア、直営店が入店しているショッピングモールなどを運営する32社に対して、DHCとの取引を継続していることによる人権に対する負の影響を軽減するための適切な措置をとるように求める要望書を送付し、5月21日までに文書回答することを要請していた。32社のうち7社がDHC側に見解を求めるなどの何かしらの対応を取ったという。
https://digital.asahi.com/articles/ASP616G9QP61PTIL00Y.html?iref=pc_ss_date_article
ほかに、DHC商品をふるさと納税の返礼品としていたさいたま市も取り扱いを5月25日に取り消した。
取引のある自治体や企業側の強い姿勢を受けて、DHCも文書の削除・撤回を頑なに拒否してきた従来の姿勢を変えざるをえなくなったとみられる。しかし、文書は削除されたが、DHC社から正式な謝罪の表明はなく、文書削除についての説明もなされていない。各メディアからの問い合わせに対しても、「コメントは差し控える」の一点張りだ。同社から正式な謝罪と再発防止に向けた具体的行動が出るまで問題が解決したとはいえないだろう。(相)