「表現の不自由展・東京展」、会場変更して開催へ
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6月25日から7月4日まで東京都内のギャラリーで「表現の不自由展・その後 東京EDITION&特別展」(以下、「表現の不自由展・東京展)が開催される。今回のエントリではその宣伝をしようと考えていたのだが、昨日、会場を別に移して開催することがアナウンスされた。
主催団体である実行委員会が昨日、東京都内で記者会見を開いて明らかにした。展覧会の開催中止を求める街宣行動が相次いだのを受けて、開催場所として予定されていた新宿区内のギャラリー「セッションハウス・ガーデン」が会場の提供をとりやめたため、別の会場を確保して開催することになったという。
https://mainichi.jp/articles/20210610/k00/00m/040/202000c
いま、日本の中では、さまざまな表現や言論が沈黙を強いられています。もしくは、暴力の被害を恐れて、自ら沈黙を選んでしまうことも――
公立美術館などで、「抗議が来る」おそれがあるというだけで、展示作品を撤去されることがありました。公共の施設や空間で表現の機会を奪われる事態が相次いでいます。(「表現の不自由展」公式サイトhttps://fujiyuten.com/より)
このような事態を、日本国憲法が明確に禁止している「検閲」に当たる重大な問題だと考えた有志らが2015年、公共施設・公共空間で表現の機会を奪われた作品を集めた展示会を東京で開催し、「消されたものたち」の権利と尊厳の回復をめざしたのが「表現の不自由展」の始まり。
「表現の不自由展」はその後、2019年の「あいちトリエンナーレ」に続いて、同年末には韓国・済州島の済州4.3平和公園から、20年春には台湾の台北市現代美術館からも招待を受けて、展示が行われた。「あいちトリエンナーレ2019」では企画展「表現の不自由展・その後」として開催されたが、展示作品に抗議が殺到。脅迫ファックスなども送られてきたことで展示は3日間で中止された。その後、内外のアーティストや市民の支援もあり、閉幕直前に再開されたことで大きな関心を集めた。
実行委員会は「公共の空間で表現の機会を奪われた作品を見てもらう機会を改めて設けたい」と考え、今年、東京を皮切りに名古屋、大阪などで開催を計画した。
実行委員会側の説明によると、開催スケジュールを今月3日に告知したところ、翌日から会場のギャラリーあてに抗議の電話やメールが寄せられるようになった。6日には、右翼・排外主義団体が車で会場付近に押しかけ、大音量で街宣活動を行った(これらは抗議の名を借りた妨害、脅迫にほかならない)。このような事態を受け、ギャラリーと同じ建物にある施設の利用者への影響や近隣住民との信頼関係が壊されることを懸念したギャラリー側が会場提供の撤回を申し出たという。
東京展では韓国のキム・ソギョンさんとキム・ウンソンさんの「平和の少女像」など計18組のアーティストの作品が展示される予定。展覧会の予約サイトにはすでに600人近い人びとが観覧を申し込んでいる。一方、この間、抗議や妨害を上回る励ましのメッセージが送られてきたという。
実行委員会側は、「不当な攻撃には屈しない。予約した人の展示を鑑賞する権利を最大限保障する」としている。
新しい会場と会期は調整中だという。(相)