ウィーンからザッハトルテをお取り寄せしてみた
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最近SNS上でバズっていた、オーストリアの首都ウィーンの5つ星ホテル・ザッハーの名物ケーキ「ザッハトルテ」の全世界送料無料サービスを利用して、ウィーン現地からザッハトルテをお取り寄せしてみた。
ザッハトルテを知らない人のために説明すると、チョコレート入りのスポンジ生地に、アプリコット(アンズ)ジャムをサンドして、表面をチョコレートでコーティングしたケーキのこと。1832年に当時のオーストリア宰相メッテルニヒに晩さん会のためのデザート作りを命じられ、当時16歳の見習い菓子職人だったフランツ・ザッハーが開発したケーキがその始まりといわれている。その後、フランツの息子エドワルドがホテル・ザッハーを開業して、ホテルの名物になった。
チョコレートケーキの定番として、現在では世界中で食べられているザッハトルテだが、ホテル・ザッハーのみが「オリジナル」を名乗れることになっている。過去には、もう一つの老舗デメルとの間で「どちらがザッハトルテの発祥なのか」、その商標をめぐって裁判が行われ、ホテル・ザッハーが勝利した。その結果、世界中どこでも誰でも「ザッハトルテ」を売ることはできても、「元祖」を意味する「オリジナル」を名乗れるのはホテル・ザッハーのみとなった。
ここらへんの経緯については、5年前、ウィーンを旅行した際、ホテル・ザッハーでザッハトルテを食べた時のことと絡めて「日刊イオ」で書いたことがある。
https://www.io-web.net/ioblog/2016/07/08/76597/
広く海外展開していて日本にも店舗があるデメルとは異なり、ホテル・ザッハーのオリジナル・ザッハトルテは、ウィーンにあるホテルに行くか、高い送料(商品と同程度の額)を払ってホテルから直接通販で取り寄せるかしか食べる方法がない。そんな有名ケーキが、世界中どこからでも送料無料で取り寄せられる! ホテル・ザッハーが2021年6月8日まで自社の公式ウェブサイトを通じて60ユーロ(約7,900円)以上の商品を購入すれば送料が無料になるキャンペーンを発表した瞬間、情報は世界中をかけめぐり、日本でもSNS上で軽い「祭り」のような状態になった。
送料なしでホテル・ザッハーのザッハトルテをお取り寄せできるのはこれが最初で最後の機会かもしれない。この太っ腹企画に乗らない手はない—。そう思った瞬間、スマートフォンに自然と手が伸びた。
ウェブサイトで購入可能なザッハトルテは3サイズ展開。小さい方からサイズI(42.9ユーロ)、II(51.9ユーロ)、III(58.9ユーロ)。最も高価なサイズIIIでも1個では60ユーロに届かないため、送料無料にするには複数の商品を購入しなければいけない。家族へのプレゼント用にサイズIIを2つ購入することにした。
実際に注文した人のブログやSNS投稿をチェックすると、注文してから1週間から10日ほどで届くとあった。
「思ったよりも早い!」
しかし、喜び勇んだのもつかのま、世界中から注文が殺到しているのか、出荷の連絡がなかなか来ない。結局、注文からちょうど1ヵ月後の6月18日に到着した。
届いた商品を持ってみると、ずっしり重たい。包装を破ると、中から木箱が登場。さすが5つ星ホテル。重量はパッケージ込みで1.4キログラム、ザッハトルテだけで940グラム。ケーキとは思えないほどの重量だ。サイズIIで直径19センチ、9ピース分の大きさだという。
チョコレートの濃厚な味わいをマイルドにしてくれる無糖の生クリームを添えて食べるのが定番、ということでホイップクリームも自作して準備万全。夕食後にいざ実食。表面のチョコレートと生地の間に、そして生地の中間にも塗られた甘酸っぱいアプリコットジャムが存在感をはなっている。ケーキの表面をコーティングしたチョコレートは濃厚だが、決して甘ったるくなく、アプリコットジャムの爽やかさとの絶妙なバランスが取れている。チョコレート、アプリコットジャム、ホイップクリームがおりなす三位一体のハーモニー「これ、これ!」と5年前に現地で食べた味を思い出しながら、テンションが上がった。
賞味期限は製造後18日間。まだ10日ほど残っている。51ユーロ=6,668円。ホールケーキとしては価格が少々高いが、重さ、密度ともに普通のケーキを凌駕しているので、割高さは感じない。むしろ、お得さを感じるほどだ。
元々、海外旅行に頻繁に行けるほどの身分ではないが、コロナ禍の中で海外旅行に行けないなら、海外を自分のところに引き寄せればいい。ウィーンから東京まで9000キロ、飛行機の直行便で12時間。オンラインの通販サービスのおかげで、直接現地に行けなくても5つ星ホテルのホスピタリティの一端を体験することができた。そう考えると、100ユーロは決して高くない。(相)