朝鮮幼稚園にも「幼保無償化」適用を! 京都で集会
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「朝鮮幼稚園にも『幼保無償化』適用を! 京都集会2021~『幼保無償化』除外は何を意味するのか」が5月16日、京都市内で開催された。
より多くの支援実現を
集会は、「幼保無償化」を求める京都朝鮮幼稚園保護者連絡会と朝鮮学校への「高校無償化」「幼保無償化」適用を求める火曜アクションin京都が主催し、朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)が共催。オンラインでも配信された。
集会では、河かおる・滋賀県立大学准教授(こっぽんおり共同代表)が「朝鮮学校『無償化』排除と日本社会」と題して講演を行った。
地域で長らく朝鮮学校、ブラジル学校支援に携わってきた河さんは、朝鮮幼稚園など各種学校認可の外国人教育・保育施設が、▼学校教育法上の学校であるが、「多種多様」であって、幼児教育の質が担保されていない、▼各種学校は学校教育法上の学校なので児童福祉法上の保育施設にも該当しない、という論理で幼保無償化の対象から除外されたと指摘。各種学校認可を受けた外国人学校は、未就学児の教育・保育を①各種学校から切り離して認可外保育施設として幼保無償化の対象となるか、②各種学校のまま対象外となるか、という二択を突きつけられたとのべた。
河さんは、幼保無償化に続いて昨年には学生支援緊急給付金から朝鮮大学校が除外されたことで、朝鮮学校の排除がすべての教育段階におよんだと指摘。国が高校無償化裁判や補助金裁判で公然と官製ヘイトを主張し、司法がそれにお墨付きを与え続けている状況に憂慮を示した。今後については、「行政の裁量によって揺るがされない権利の確立」が必要であり、「どのような法的地位のもとに民族教育権を実現していくのか」を考えていかなければいけないとのべた。
続いて、幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会の宋恵淑代表が幼保無償化からの朝鮮幼稚園排除問題について解説した。
宋さんは昨年行われた調査事業について、さまざまな問題点はありつつも、日本全国で14施設の各種学校認可の外国人学校幼稚園が対象となったことを成果として挙げた。幼保無償化本体から除外された施設に対する本格的な支援事業は今年4月から始まった。子ども子育て支援制度の枠内に朝鮮幼稚園が入ったことで、支援事業に手上げする自治体が現れれば朝鮮学校に対する初めての国庫補助が実現する。幼保無償化制度そのものの対象になるには法改正という高いハードルがあるが、宋さんはまずは一人でも多くの朝鮮幼稚園の園児が支援の対象となるよう、自治体に対して実情に合わせた要請を行っていくことが重要だとしながら、支援事業の中でより多くの支援を実現させることで、幼保無償化「本体」への適用のための法改正の必要性を迫っていきたいとのべた。
集会では、日朝友好京都ネットの角替豊副会長、朝鮮学校無償化排除に反対する連絡会・長谷川和男さんが連帯のあいさつを行ったほか、京都府教職員組合のメッセージが代読された。集会の最後には、京都保護者連絡会の鄭英姫さん、火曜アクションの李宗海さん、こっぽんおりの三嶋あゆみさんがそれぞれ発言した。鄭さんは、「幼保無償化制度の対象に朝鮮幼稚園など外国人学校幼稚園が含まれ、子どもたちの尊厳が尊重され、この地に住む人びとが互いを認め合って暮らしていける社会が訪れるよう、声をあげていこう」と呼びかけた。
△東京
国連勧告を差別解消の武器に
国会で36回目の学習会
「国連人権勧告の実現を! すべての人に尊厳と人権を―院内学習会『日本の人権問題を解決するために何が必要か』」が6月1日、東京・永田町の参議院議員会館で行われ、近藤昭一・衆議院議員、水岡俊一、川田龍平、福島みずほの各参議院議員も含め約70人が参加した。2013年から続き、36回目を迎えた学習会では、日本の人権問題を解決するため、どんな手段や仕組みが求められているかについて、コリアン、移住者、女性、精神障害者、教育者の立場からそれぞれ発言がなされた。
基調講演「日本の人権問題を解決するために何が必要か」を行った山崎公士・神奈川大学名誉教授は、国連で勧告が出た後は、「手をかえ品をかえ、勧告実施を政府に迫り活用していくことが必要だ」とのべ、質問主意書(国会議員が国会開会中に内閣に対し質問する文書)とこれへの答弁書の広報、国会質疑での活用を勧めた。また1998年に設置された参議院の行政監視委員会を活性化することも一案だと語り、新規制度の可能性としては、人権条約に基づく個人通報制度の導入、国内人権機関の新設を提案した。
在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑さんは、「深刻化する朝鮮学校差別」と題して発言。2013年2月には朝高が高校無償化制度の適用対象となるための根拠がなくなり就学支援金が支給されず、19年からは幼保無償化からも排除されている現状を伝えた。また、コロナ禍の中で生まれた新たな差別も列挙。ウイルス感染を防ぐためのマスク配布対象から朝鮮幼稚園が排除され、学生支援緊急給付金などからも除外されていると訴えた。
△中等教育実施75周年記念
「京都民族教育史を振り返り、民族教育のいまを考える」連続講演会・映画上映会
―講演会(参加費無料)
・第1回:「京都における朝鮮人学校の設立とその変遷―1940~1950年代を中心に」
講師:松下佳弘(世界人権問題研究センター 登録研究員)
日時:7月17日(土)18:30~20:00
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室
・第2回:「朝鮮学校の調査活動で見えてきた第1、第2、第3初級と京都中高の歴史物語―設立家庭と地域同胞たちの歴史」
講師:板垣竜太(同志社大学教授)
日時:9月25日(土)18:30~20:00
場所:キャンパスプラザ京都 第2講義室
・第3回:「『生きた学び』に触れることができる朝鮮学校の意義について」
講師:文峯秀(京都朝鮮初級学校 校長)
日時:12月11日(土)18:30~20:00
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室
―映画上映会
・第1回:「蒼のシンフォニー」(朴英二監督)
日時:6月26日(土)18:30~20:00
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室
料金:一般500円、大学生200円(高校生以下は無料)
・第2回:「ニジノキセキ」(朴英二・金功哲監督)
日時:9月4日(土)18:30~20:00
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室
料金:一般1000円、大学生500円(高校生以下は無料)
・第3回:「私はチョソンサラムです」(キム・チョルミン監督)
日時:10月30日(土)18:30~20:00
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室
料金:一般1000円、大学生500円(高校生以下は無料)
主催:在日本朝鮮青年同盟京都府本部(協力:在日本朝鮮留学生同盟京都府本部)