「表現の不自由展かんさい」、会場側が使用許可を取り消し
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東京に引き続いて、大阪でも「表現の不自由展」の開催に暗雲が立ち込めている。
7月16日から18日まで大阪市中央区の大阪府立労働センター(エル・おおさか)で「表現の不自由展かんさい」が開催される予定だったが、会場の指定管理者が使用許可を25日付で取り消した。報道によると、「表現の不自由展かんさい」の実行委員会がSNSで企画展の開催を明らかにした6月15日以降、エル・おおさかに電話やメールでの抗議が約70件寄せられ、施設周辺で大音量で中止を求める抗議活動も行われた。会場側は利用者の安全が保証できないと判断したという。大阪府も指定管理者から事前に相談を受け、許可取り消しを容認した。
「表現の不自由展かんさい」の実行委員会は施設の使用許可取り消しについて「とても納得できない」としている。吉村洋文大阪府知事が26日、会場使用許可取り消しについて「賛成だ」とのべたことに関しても27日付のFacebookページへの投稿文で次のように指摘している。
知事は施設利用者の安全が保障できないと判断したとのことですが、抗議活動については全く言及していません。抗議活動という言い方をしていますが、大音量で街宣車での宣伝活動をすることは、多くの人々に恐怖感を与える行動で、暴力行為や威力業務妨害にあたるのではないでしょうか。しかし、知事はそういった行為への批判はしません。これでは、知事もそういった活動を容認しているかのように思えます。内容には踏み込まないと言いながら、知事は不自由展を暗に批判する立場で決定しているとしか考えられません。
知事の役割は、暴力的な街宣活動を取り締まり、利用者や周辺住民の安全を図るとともに、 公共施設における集会や言論発表の場を保障することのはずです。しかし、暴力的な街宣活動には目を瞑り、攻撃されている側の会場使用を取り消すことは、激する側に与しているとしか思えません。そして、憲法に保障されている表現や集会の自由を知事自らが脅かすことに加担していることになります。この決定は社会に大きな禍根を残すことになるでしょう。https://www.facebook.com/hujiyu.kanasai/posts/125936919662887
今回の件は「表現の自由」についての問題であると同時に、(より重要なポイントとしては)「表現の不自由展」で展示される「平和の少女像」が象徴する植民地支配や戦時性暴力という歴史の事実をゆがめ、踏みにじろうとする勢力の暴力とどうたたかうかという問題でもある。
「表現の不自由展かんさい」実行委員会はエル・おおさかを相手に、会場の使用を求めて今週内にも大阪地裁に提訴する方針だという。(相)