骨身に沁みた痛さ
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「ぽきっ」
人間の骨は、本当にこの音を鳴らすのだという事実を先日初めて知った。
人生で初めて脱臼したのだ。
脱臼したのは、足の指先の骨。
先週末のこと、前日にコロナワクチン2回目の接種を受け、
その晩、噂通りの副反応で38度越えの熱が出た。
薬を飲まず耐えようかとも思ったが、
かなりきつく、1、2時間ごとに起きてしまうので、
病院から以前もらっていた解熱鎮痛剤を飲んだ。
すぐに効き、熱はさがったものの、
熱がでたての身体はフラフラで、
フラフラしながらトイレに向かおうと思った矢先、
子に「おもちゃを探して」と呼び止められた。
なんとか返事をして、向かおうとしたとき、
中間にある洗濯機の排水パンの角に足がぶつかった。
「ぺきゃ」と音がして、激痛が走ったと思った瞬間、
足をよく見ると、
右足の4番目の指先がへんなふうに曲がっていた。
触ると、とても痛い。
まともに歩けない。
これはもしかして、やらかしてしまったかもと思ったが、
その日は日曜日。
我慢して、翌日朝イチで、自転車で整形外科に向かった。
(自転車は踵を使って漕げるので、長距離も移動しやすかった)
整形外科でレントゲンをとってもらい、見てみると、
横の足先と比べて、綺麗に指先だけ脱臼してた。
「ここの骨の出っ張りが引っかかって取れなくなっちゃったんだね。
昨日になったとなると、時間が経って戻りづらくなっているから、
もしかすると痛いかもしれないけど、1回麻酔なしで戻してみようか」と先生。
ベッドに横になり、ぐいと引っ張られる。
ものすごく痛い。めちゃめちゃ痛い。
涙が出るくらい痛い。
気づけば「ウ~~~」と唸って、看護師さんの手を握っていた。
(このコロナ禍でやさしく手を差し伸べてくれた看護師さんに感謝です。)
「これは、麻酔なきゃ無理だね」と先生。
処置室に移動して、またベッドにスタンバイ。
先生が看護師さん2名ほどを連れ立ってくる。
局所麻酔を指の付け根2か所に打たれる。
打つとき、先生が「痛い?」と聞いてくれたが、
「さっきの痛みより全然ましです!」と即答してしまった。
麻酔が効き、感覚が鈍くなったのを確認され、また先生が元に戻す処置。
「ポキッ!」
処置室に盛大に響きわたった音ともに、めでたく指先の骨が元にもどった。
まだ数日は靭帯が伸びていて、また脱臼する可能性があるので、
2、3日はテーピングをして
指を曲げる動作をしないで踵で歩くようにと言われた。
そして、1週間後にまた経過をみせることになった。
麻酔が切れてくるとまた痛みがでてくるので
鎮痛剤をもらい、帰ってきた。
いままで、脱臼がこんなに痛いものだとは思いもしなかった。
人間の身体は指先ひとつ、
なにも無駄なものはないのだな、としみじみ思い知った。(愛)