お葬式での一言
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今月はお葬式などの場で使うお悔やみの言葉を習います。お悔やみの言葉は、故人との関係性によって変わります。日本語訳は一部、直訳に近いものになっている点をご了承ください。
상사에 얼마나 애통하십니까.
(喪事でどれだけお辛いでしょうか)
主にご両親が亡くなった方へかけるお悔やみの言葉です。상사は漢字で「喪事」、つまり人が亡くなったことを表します。また病気で亡くなった場合には、「환중이시라는 소식을 듣고도 찾아뵙지 못하여 죄송합니다.(病中との知らせを耳にしてはいたものの、お見舞いにも伺えず申し訳ないです)」なども使います。
他に、電報やメッセージなどでは「고인의 명복을 빕니다.(故人の冥福をお祈りします)」がよく使われます。
위로할 말씀이 없습니다.
(おかけする言葉が見当たりません)
主に妻や夫を亡くした方にかける言葉です。他にも、妻を亡くした方には「옛말에 고분지통이라 했는데 얼마나 섭섭하십니까.(昔の言葉に叩盆之痛という言葉がありますが、どれほど悲しいでしょうか)」という表現があります。「고분지통(叩盆之痛)」は、妻を亡くした時に水瓶を叩いて悲しんだという荘子の故事から来ている言葉です。
一方で夫を亡くした方には「천붕지통에 슬픔이 오죽하십니까.(天崩之痛の痛みがどれほどでしょうか)」という表現があります。「천붕지통(天崩之痛)」は夫を亡くした悲しみを表すときに使います。
백씨(伯氏) 상을 당하셔서 얼마나 비감하십니까.
(お兄様を亡くされどれだけお辛いでしょうか)
「백씨(伯氏)」とは人の長兄に対する尊敬語です。他にも二人目の兄を表す「중씨(仲氏)」、弟を表す「계씨(季氏)」などの言葉も使われます。また「할반지통이 오죽하시겠습니까.」という表現もあり、「할반지통(割半之痛) 」は兄弟姉妹を失った悲しみを表します。
他にも子どもを亡くした人には「참척을 보셔서 얼마나 마음이 아프십니까.(慘慽に遭いどれほど心が痛いでしょうか)」や「참경을 당하시여 얼마나 비통하십니까.(慘景を受けてどれほど悲痛でしょうか)」といった表現があります。「참척(慘慽)」は子どもが両親や祖父母より先に亡くなることを表し、「참경(慘景)」はとても残酷な光景という意味になります。
コラム●お葬式での注意点
お葬式の場では間違っても「안녕하십니까.」と言わないようにしましょう。안녕は「安寧」で「穏やかで平和だ」という意味ですが、不幸があった相手は安寧な訳がないので絶対に使ってはいけません。また葬儀の場で親しい知り合いにあったとしても大声で話したりするのはよくありません。故人を偲び、会場内、特に式中は静かにしましょう。
筆者:金泰植
きむ・てしく●1980年生まれ。茨城朝鮮初中高級学校、朝鮮大学校外国語学部卒業。九州大学博士課程修了(比較社会文化)。現在、早稲田大学で客員次席研究員をしながら津田塾大学、聖心女子大学などで朝鮮語を教える。NHK出版の『ハングル練習帳』に連載や、K Village Tokyoのテキストなどを執筆。