vol.12 助けあい、生きる力を
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助けあい、生きる力を(福岡朝鮮初級学校付属幼稚班(保育士)梁静美先生)
幼少期に身体を動かすことは、とても大事だ。脳に様々な刺激を送ることで、心身の健やかな発達に繋がる。
ヴィゴツキーという心理学者が提唱した、「発達の最近接領域」という理論がある。子どもは、一人ではできない事に対して、保育者や周囲の人、または周りの環境を介す事により、それができるようになる。すなわち、人は周りの人と関わる事によって、本来持っている力、またはそれ以上の力を発揮するのだ。
ウリユチバンでは、鉄棒遊びがすこぶる流行っている。連続逆上がりを20数回成しとげた姿がネットで紹介された卒園生がいたからか、われ先にと連続逆上がりをやってのける園児が続出した。鉄棒の技には、豚の丸焼き、足抜き回り、前回り、尻上がり、こうもり、地球回りなどもある。
年少児は年長児の姿を見ながら、何度も失敗を繰り返し、技を習得していく。それを成しとげた時の達成感に満ち溢れた表情や、自分のことのようにともに喜ぶ子どもの姿は何ものにも代えがたい。
技を1つ習得しただけで、子どもの世界観は一変するようだ。挨拶の声が大きくなったり、生活態度が急に落ち着いたり、友だちに優しく接するようになったりと、さまざまな形で現れる。
「できないと思ったら、ずっとできないよ!」と、もっともなことを言う子もいる。(ちょっと前の君のことだよね?!)と、ついつい心の中で呟いてしまう筆者である(笑)。
自己肯定感がどんどん高まっているようだ。未来を担う子どもたちが、人と触れあい、助けあうことによって、これからの予期せぬ様々な困難にも立ち向かっていける、「生きる力」を培ってくれることを切に願う。(おわり)