どう活かす? 資格の話
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弁護士や税理士、行政書士、保育士などの国家資格から、カラーコーディネーターなどの民間資格まで、資格を持つ同胞が増えています。
社会に出たのちに、自身のスキルアップ、セカンドキャリアのために一念発起し、資格を取得した同胞たちに、時代と社会をどのように見すえ、資格をどう活かしているのかを聞きました。
対談 イルクンの私が資格を取った理由
在日本朝鮮青年同盟(朝青)の地方本部委員長として働く傍ら行政書士の資格取得を志し、ともに勉強を重ねてきた崔輝勇さん(34)と金明孝さん(32)。2020年度の試験に見事合格した二人は、21年6月15日に北海道と千葉でそれぞれ事務所を開業した。チャレンジに至った動機や問題意識、同胞たちから求められる役割について語ってもらった。
―行政書士試験にチャレンジした動機は何ですか?
崔輝勇:イルクンを続けながら、気持ちも重要だけど実際に役立つスキル、実力が必要だと感じる場面が多々ありました。同胞と話しながら自分の無知を恥じることも。それまでも簿記やFP、宅建の勉強はしてきましたが、改めて「同胞の生活に直結するものを」と考え、2020年1月から行政書士を目指し、予備校に通いながら勉強を始めました。
金明孝:朝大法律学科を卒業したので、何か一つは資格を取っておきたいという気持ちがずっとありました。行政書士は同胞のために役立てられる資格だと思ったし、自分も専従活動家として実力をつけることの重要性は感じていました。
もう一つは、結婚もして子どもが生まれるという環境の中で、イルクンを続けていくためには経済的にも安定する必要があると思って。…
同胞社会の今と未来を見すえて
ルポ・時代と資格
さまざまな資格を持ち、分野ごとにキャリアを積んできた同胞たち。自身が取得した資格にはどのようなニーズがあるのか、加えてこれからの時代における同胞社会での役割とは何なのか―。3人の有資格者から聞いた。
〝私らしく〟生きる手伝いを
東京都足立区出身の尹成秀さん(36)は2011年から臨床心理士として働き、18年11月に第1回国家試験に合格。公認心理師登録をした。
公認心理師は、17年の法施行によって新たに生まれた、心理職唯一の国家資格だ。心理職はそれまで民間資格しか存在しなかった。近年、うつ病といった心の問題を抱えている人が増え、心の健康をめぐる問題が複雑かつ多様化していることが、国家資格としての需要につながったと言えるだろう。…
教育権守る武器として
2019年度から北大阪朝鮮初中級学校付属幼稚班に勤めている梁有那さん(23)。仕事の傍らで時間を捻出し、保育士資格の取得に精を出した。保育士試験は年に2回。20年4月に予定されていた前期試験は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、同年10月に受けた保育士試験に見事合格することができた。…
「同胞のため」を軸に
東京・上野にある在日本朝鮮商工連合会で社会保険労務士として働く朴東浩さん(46)。小中高と日本の学校で学び、日本大学生産工学部へ入学。大学時代に在日本朝鮮留学生同盟(留学同)を通して民族と出会い、大学卒業後は留学同の専従活動家になった。…
仕事と資格
社会に出た後、一念発起して資格を取った同胞たちに、資格取得の動機や仕事・家庭生活と勉強の両立方法、そして同胞社会に学びをどう活かしているのかを聞きました。
税務会計をもって、人に寄り添う/金恵蓮【税理士】
「税務会計の仕事しかしたことがなくて、何か極めるとしたらこれしかなかったんです」
金恵蓮さん(47)は、40歳で税理士を志し、43歳で税理士試験に合格した。
かねてより数字に強かった金さんは、京都朝鮮中高級学校を卒業後、親の勧めで、在日本朝鮮京都府商工会に就職した。「税務会計という手段を通じて、相手が何を考え、経営者が何につまづいているのかを汲み取る。そのためのコミュニケーションや、人間関係の構築が得意だったので、自分の強みを活かした、相性のいい仕事でした」。…
地に足をつけ、目は世界に―/金潤徳【国際ボクシング協会公認3スター国際審判資格】
2019年、AIBA(国際ボクシング協会)公認3スター国際審判資格を取得したことで、アマチュアボクシング審判としての活躍の場を世界に広げた神戸朝鮮高級学校教員の金潤徳さん(42)。
日本では、国内のC級ジャッジからA級レフェリー・ジャッジまで6段階の資格を経て、国際審判の受験資格が与えられる。金さんの場合、朝鮮民主主義人民共和国からの推薦があれば、国際審判員の受験資格を得ることができるが、金さんはA級レフェリー・ジャッジまですべての工程を踏んだ(14年)。指導者としての質向上のほかに、理由があった。
「難しい試合になると、朝鮮学校に不利なジャッジが下される場面もあった。何よりも生徒たちが公平に勝負できる環境を作りたかった」…
知識広げ、〝紛争を未然に防ぎたい〟/金順雅【弁護士・弁理士】
法的分野で頂点にある弁護士。弁護士資格を取得すれば、弁理士、税理士、社会保険労務士などの士業業務との掛け持ち―資格登録が可能になる。
金順雅さん(33)は、2013年に司法試験に合格し、15年に弁護士登録。藤本法律特許事務所(大阪市)に就職し、17年7月に弁理士に登録した。
「私は、司法試験で知的財産法を選択しなかったのですが、就職先が本来特許事務所だった所に弁護士が合流したという形態で、特許や商標などの知的財産に関する出願から紛争までを扱っていました。興味もあり、事務所からの勧めもあったので、弁理士登録をすることにしました」…
こんな資格取ってみました
スキルアップ、転職に向けた準備、好きが高じて本職とは関係のない民間資格を取った、
などさまざまな種類の資格を取得して仕事や日々の生活に役立てている人たちを紹介します。
・高成華さん●パーソナルカラー・アナリスト、骨格診断アナリストなど
・金賢さん●理学療法士、JRTAランニングマスター・トレーナーなど
・任基赫さん●基本情報技術者、Oracle Java Goldなど
・吉香里さん●カラータイプ2級・マットピラティスインストラクター
以上は特集からの抜粋になります。全文ご覧になるには本誌をご覧ください。