高校無償化制度からの朝鮮学校除外問題、広島裁判の記録集発行
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「広島『無償化』裁判 闘いの記録―司法の有様を問う」(広島「無償化」裁判総括委員会編)が2月20日に発行された。
本冊子は、国が朝鮮学校を高校無償化制度の適用対象から外したのは違法だとして、広島朝鮮初中高級学校(広島市)を運営する学校法人広島朝鮮学園と同校卒業生109人が原告となり、国に対して処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟(以下、広島無償化裁判)の記録と、原告・弁護団・支援者らの声をまとめたものだ。
2013年8月1日に提訴された裁判は、21年7月27日、最高裁が朝鮮学園・卒業生側の上告を棄却し、上告受理申立ても受理しないとする決定を下したことで高校無償化制度からの朝鮮学校除外を「適法」と判断した一審、二審判決が確定した。
「広島無償化裁判を支援する会」、広島朝鮮学園、広島無償化弁護団など6団体からなる「広島『無償化』裁判総括委員会」が編集・発行した全95ページの冊子には、裁判の経緯や意義がまとめられているほか、原告・弁護団・保護者ら学校関係者・支援者の声や各種声明、新聞・雑誌記事、年表、写真などの関係資料が収録されている。本誌イオに掲載された裁判関係の記事や写真も載っている。
裁判総括委員会は「『無償化』裁判で問われているもの(『無償化』裁判の意義)」として以下の点を挙げている。
・「無償化」裁判の闘いは、民族教育権の保障を求める取り組みの一環である
・朝鮮学校と朝鮮学校に学ぶ生徒たちが、「高校無償化」制度から朝鮮学校を国が排除してきたことに対して、闘いを起こしたことに大きな意味がある
・司法の独立と裁判官の良心が問われるだけでなく、裁判官の国際的な意識も問われる裁判である
・在日朝鮮人の生きる権利と朝鮮学校を民族教育の場として正当に認めること
・国の朝鮮学校に対する差別に、人権を守ろうという全国の団体が連携して闘った「無償化」裁判は終わり、司法では敗北したが、「高校無償化」の闘いは終わっていない
本冊子は、「투쟁의 걸음을 이어나가자(これからも闘いは続く)」という一文で結ばれている。
8年におよんだ裁判闘争を振り返るともに、その意義を今一度確認し、今後の運動につなげる一冊だ。
価格は500円。注文、問い合わせは
広島無償化裁判を支援する会 dqgyc696@yahoo.co.jp
まで。(相)