“チェーサー”誇る1000人の輪 /大阪朝鮮第4初級学校75周年記念チャリティコンサート
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●芸達者な子どもたち、卒業生も出演
大阪朝鮮第4初級学校(1946年6月11日創立、柳政彦校長)創立75周年記念チャリティコンサート「ウリハッキョは私たちの誇り」が3月22日、東大阪市文化創造館大ホールにて約1000人の参加のもと行われた。生野区のコリアタウンに位置する第4学校は、生野西支部が支える「1支部1学校」、トンネのウリハッキョとして76年の歴史を重ねてきた。
金剛山歌劇団とのジョイント公演は、65周年、70周年に続いて3回目。公演では、金正守団長から50万円のチャリティ金が柳校長に贈られた。
合唱「我らの誇り限りなく」で幕を開けた公演は、58人の児童生徒が出演するオリジナルの演目に加え、歌劇団の歌や踊り、演奏など16の演目で彩られた。
同校低学年生が出演した演劇「ホンギルトン」は、ホンギルトンの分身がどんどん増え、王を懲らしめるコミカルな演技が笑いを呼び、舞踊「みんなで祝おう!学校創立75周年」では、同校出身で現在は歌劇団舞踊手の宋世響さんが特別出演し、花を添えた。
2部最初の演目は「歓喜」。第4を卒業した後も朝鮮舞踊を学び続ける大阪朝鮮中高級学校、朝鮮大学校の生徒たちが、白と水色のさわやかなチョゴリ姿で登場。その成長した姿にトンネの人たちは目を細めていた。
フィナーレを飾ったのは舞踊「万豊年」。金剛山歌劇団の生演奏が迫力一杯に広がるなか、児童たちが「제4학교 제일!(第4学校 一番)」などののぼりを掲げて会場を練り歩く。チャンダンのリズムに身を委ね、サンモを痛快に回し、楽しく踊りまわる子どもたちのパフォーマンスに、会場は湧きに湧き、会場いっぱいに笑顔と拍手が広がった。
最後は「이까이노 한복판에 우뚝솟은(猪飼野の 真ん中に 高くそびえたつ…)」で始まる校歌を高らかに歌いあげた子どもたち。
1世、2世、3世が築きあげた76年の歴史を全身で受けとめ、プロとのジョイント公演を立派に成功させた子どもたちに、同胞たちは心を弾ませながら拍手を送り続けていた。
●亡き母の思い、胸に
亡き母・金甲生さんの思い胸に、この日の公演を準備してきた人がいる。公演実行委員会名誉委員長の許敬子さん(67、女性同盟生野西支部副委員長)だ。
今は孫が母校のチェーサーに通う。済州島4.3事件で弟と妹を失い、日本で苦労を重ねながらも民族文化を普及する金剛山歌劇団を慈しみ、歌劇団後援会全国副会長を20年以上も務め上げたのが、母・甲生さんだった。その在りし日を記憶する同支部顧問の姜善和さん(81)は、「カプセン顧問は、晩年は朝の通学路に座って子どもたちを見送っていました。ウリマルでしっかりあいさつをする子どもたちが偉いってね」と振り返る。
同校教員の高佳恵さん(53)は、教務主任、6年生担任を受け持ちながら、公演の企画や舞踊の按舞を担当してきた。公演後のロビーで成人した教え子たちに囲まれていた高さん。
「『誇り』をテーマにした公演だっただけに、同胞社会で歌いつがれてきた朝鮮の名曲で始め、名曲で締めくくりたかった。農楽の衣装には、チェーサーのシンボルカラーの緑のたすきをかけました」。母親の玄京玉さん(93)も車椅子に乗って愛娘・佳恵さんの頑張りを見に会場に駆け付けた。玄さんは中大阪初中で教員を務めたという。
30数人からなる実行委員たちは、2021年7月に記念事業実行委員会を立ち上げた後、チケット販売や広告集めに奔走してきた。女性同盟生野西支部朝鮮市場分会の沈美福分会長(50)は、「この地域は1世の気質が残っている場所」だと誇る。2人の息子が卒業した後も、地域で学校支援に務めてきた沈さん。「65周年、70周年時のジョイント公演を見てきた者として、満足してもらえる自信があった。地域のトンポたちに絶対見てほしい一心でした」。
高校無償化からの朝鮮高校の排除、大阪府と市の補助金削減、2つの裁判闘争に同胞たちの価値観の変化、止まぬ新型コロナウィルスの感染…。
本公演も、まん延防止措置の発令で2月28日の予定を延期する憂き目にも遭った。逆境をはねのけ、900枚のチケットを販売、多額の広告を集めた実行委員会の「意地と底力」が、満席の会場を作りあげていた。
「チェーサーはこれからも輝き続けます。子どもたちが『誇り』を胸に歩んでいけるよう、引き続き支援と協力をお願いします」―。
会場を埋めた地域同胞たちを前に、謝辞をのべたシン・チャンス実行委員長(49、同校教育会会長)は、母校の未来を切りひらく決意を熱く語っていた。(瑛)
※写真=盧琴順(朝鮮新報)、張慧純