アンダーソン・パークとゲンナジー・ゴロフキン
広告
4月3日にあった第64回グラミー賞授賞式。主要4部門をアフリカとアジアにルーツを持つマイノリティのミュージシャンが独占したことが注目を集めた。
最優秀アルバム賞のジョン・バティステはアフリカ系アメリカ人、最優秀新人賞のオリビア・ロドリゴはフィリピン系アメリカ人を父親に持つ。そして、大ヒット曲「Leave The Door Open」(MVのYouTube再生回数は何と5億回超え!)で最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞の2部門を受賞したシルク・ソニック(Silk Sonic)は2人ともアジアにルーツを持つ。
ブルーノ・マーズはフィリピン系の母親とプエルトリコ系の血を引く父親の間に、アンダーソン・パークはコリアン・アメリカンの母親とアフリカン・アメリカンの父親の間に産まれている。アンダーソン・パークの本名はBrandon Paak Anderson。ミドルネームのPaakは朝鮮の姓である朴(パク)からきている。
アンダーソン・パークの母親は朝鮮戦争下の韓国に生まれている。彼女の母親は地元の女性で、父親はアフリカ系アメリカ人の兵士。孤児院を経て、アメリカ・ロサンゼルスのアフリカ系アメリカ人家庭の養子となり、のちにアフリカ系アメリカ人男性と結婚し、アンダーソン・パークが生まれた。
数年前、初めてPaakのつづりを見た時、珍しい名前だと思ったが、これはアンダーソン・パークの母が米国に養子縁組される過程で姓の「パク(Park)」を「Paak」と書き間違えたことに由来するのだという。
そして、一昨日、埼玉で行われたボクシングのWBA、IBF世界ミドル級王座統一戦でWBAスーパー王者の村田諒太をTKOで破ったIBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)はロシア系の父親と朝鮮半島ルーツの「高麗人」の母親との間に生まれたということはよく知られている。
この数日の間にメディアをにぎわせたエンタメとスポーツのトピックにも朝鮮半島の近現代史にかかわるストーリーを読み取ることができる。(相)