「呉炳学展」、都内で今日から!
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昨年、97歳で他界された在日朝鮮人1世画家・呉炳学さんの遺作展が今日から開催される。
呉さんは、日本による植民地下の1924年1月21日、平安南道順川郡で生まれた。幼い頃から絵を描くことが好きで、平壌公立商業学校(旧制中学)在学中にはセザンヌの画集と出会う。見れば見るほどその奥深さに魅了され、本格的に画家を志すように。
日本語の強要、「創氏改名」、そして軍需工場への強制就職…。戦争へと向かう大きな流れと激しい民族抹殺政策に翻弄されながらも、人生をかけて追い求めたいもの―絵画への一途な思いを諦められず、1942年に一人で東京へ渡った。
戦禍を生き抜き、45年8月15日の解放を迎えたあと、さまざまな紆余曲折を経つつも実直にキャンバスと向かい合ってきた。35歳の時に手に入れて以降、生涯を過ごしてきたアトリエには呉さんの画家人生のすべてが詰まっている。人物、風景、花など大量の作品が並ぶ中でも目を引くのは、仮面の舞や白磁といった朝鮮のモチーフを描いたものだ。
呉さんは、セザンヌをはじめとする巨匠たちの技法・技術を追求しながらも、常に朝鮮民族のものを描くことにこだわりと喜びを見出してきた。「生まれ育った場所をはじめ、自分自身を突き詰めていかなければ何も表現できないんだよ、とよく言っていました」とは弟子画家である三浦千波さんの回想だ。(以上、昨年度の月刊イオ12月号に掲載された「1世の肖像」本文より引用)
私は昨年、初めて呉さんの絵画展に行き、ご本人と作品が持つエネルギーに驚いた。お亡くなりになった後にはアトリエへもお邪魔させて頂き、三浦さんからさまざまなお話を伺った。その時のことは日刊イオ「呉炳学さんのアトリエにて」に記している。
呉さんの不在後も、寂しさではなく躍動感や生命力をそのまま残し伝えている作品たちに改めて驚いたものだ。今回の遺作展でも、そうしたしなやかな生命力、そして強い民族心に触れることができるだろう。展覧会の詳細は以下。
●呉炳学展
日時:4/18(月)~4/24(日)11:00~18:30(最終日16:00迄)
場所:ギャラリー向日葵(銀座菊正ビル2階/地下鉄 銀座駅A3出口から徒歩2分)
問合せ:03-3573-1680
月刊イオ6月号でも概要を紹介する予定です。(理)