vol.4 潮目は変わりつつある ウトロ放火事件起訴から2ヵ月
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ヘイト犯罪を巡る刑事司法の判断は、蛇行しつつも前には進んでいる。とりわけ京都朝鮮学校襲撃事件を出発点に、川崎・桜本の地域一丸の闘いを決定打に実現した日本初の反差別法「ヘイトスピーチ解消法」成立以降、それは顕著に表れている。
2016年10月には、福岡PARCOのトイレなどに差別ビラを貼った男が建造物侵入で起訴され、懲役1年執行猶予3年の判決を受けた。19年1月には川崎の中学生(当時)を攻撃した差別ブログに対し、侮辱罪で科料9000円の略式起訴が出た。
京都、徳島両事件同様に名誉毀損は認められなかったが、その「置き忘れ」を補うように、翌月には沖縄で起きた在日への名誉毀損事件で、罰金10万円の略式命令が決まった。その間には京都朝鮮学園への罵詈雑言で、ヘイト街宣では初となる名誉毀損での起訴(公判請求)がなされ、19年11月には被告に対して罰金50万円の有罪判決が出た。名誉毀損適用と本裁判という「壁」を越えたのだ。そして2020年12月。同年1月に起きた「川崎ふれあい館」へのヘイト葉書事件で、初犯の威力業務妨害事件では異例の懲役1年の実刑判決が言い渡された。
背後に当事者の、まさに命を削る闘いがあることは忘れてはいけないが、民事だけでなく刑事裁判での判決も前進している…。(続きは月刊イオ2022年1 月号に掲載)