朝鮮音楽の祝典2022 in 東京
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5月22日の夕方、朝鮮音楽の祝典2022 in 東京(在日本朝鮮文学芸術家同盟主催、国立オリンピックセンター大ホール)を観覧してきた。朝鮮民主主義人民共和国や同胞社会で作られた名曲が13曲も披露された本格的な公演。会場は同胞や日本市民で満席で、同胞社会で愛されてきた「青山の野に豊年が来たる」では、アンコールの拍手が鳴りやまなかった。
13の演目中、民族器楽合奏「慶祝」に一番の感動を覚えた。
朝鮮創建10周年を祝して創作されたこの曲は、チョン・セリョンさんの作曲。
厳かなトレモロと夜明けを象徴するチャンセナプのソロで始まり、躍動的なフィモリ、軽快なアンタン、長いチャンセナプのカデンツに続き、粋なクッコリで構成される(パンフレット)…。朝鮮音楽の魅力がぎっしり詰まった管弦楽を聴いている間、心臓がドクドクと鳴りつづけていた。民族の独特な音色がここに!という感じだ。
1958年といえば、朝鮮戦争の廃墟から5年しか経っていない頃。国作りに邁進する祖国で、音楽家たちは、何をイメージしながら創作をしていたのだろう…。そんなことも思った。
金剛山歌劇団のプロからアマチュア、朝鮮学校に学ぶ中学生に至る100人以上の同胞演奏家たちが一堂に会した大演奏会、2世から5世が身につけた民族音楽の技量が大結集された圧巻の舞台だった。
皆が楽しそうに、「音楽」に没頭している!-。
暮らしに音楽がある生活を羨ましく思った。
若手から熟年の専門家たちが指揮する姿にも、好感を覚えた。
とくに指揮者たちが朝鮮音楽への思いを伝えるコーナーがよかった。
元金剛山歌劇団の白在明さんは、「東京朝高吹奏楽部の時代、対外公演で『慶祝』をたくさん演奏した」と思い出を語りながら、大人数での演奏がこの曲の魅力だと話されていて、この規模での「慶祝」の演奏が25年ぶりだとも。一人ひとりの人生に刻まれたウリ音楽の話もじっくり聞いてみたい-そう思った。
1945年8月の祖国解放から、朝鮮と国交が一切遮断されている日本で、朝鮮で生まれた音楽が奏でられてきた年月を思うと、胸がいっぱいになる。
海を越えた日本に民族楽器を届け、朝鮮音楽の神髄を教え続けた祖国の音楽家や教育者たち、
そして、朝鮮学校でウリ音楽を教えてきた方々に、心から感謝したい。
公演の詳細は、7月号の本誌に載る予定だ。(瑛)
嗚呼その場にいてその音楽に全身をうたれ、感動を共有したかった!
コロナ禍の中、素晴らしい成果ですね。
この文を書いてくれた記者さんありがとう!
張弘順先生
コメントをありがとうございます。おっしゃる通り、もう一度、いや毎年、開催し、もっと色んな方に見ていただきたいー。そう思いました。