閉鎖令にも轟音にも負けず/おいでよウリハッキョ vol.52 伊丹朝鮮初級学校
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近隣の大阪国際空港(伊丹空港)から飛び立った飛行機が、伊丹初級の上空を通り過ぎていく。かつて伊丹空港、宝塚・武庫川の改修、鉄道の工事現場には多くの同胞が駆り出されていた。劣悪な労働に苦しみ、読み書きができない辛さを体験したがゆえ、同胞たちの団結力や民族教育への情熱は高かった。学校閉鎖令に屈せず、阪神・淡路大震災にも揺らがず、飛行機の轟音にもかき消されることのなかった伊丹、川西、宝塚同胞たちの思いが、北阪神地域唯一の朝鮮学校となった伊丹初級を支えている。
△今月のハッキョ
伊丹朝鮮初級学校
歴史:1945~46年に北阪神地域の11ヵ所に国語講習所開設。49年までに朝聯伊丹初等学院(1946年9月18日創立)とその分校、朝聯川辺初等学院、朝聯宝塚中央初等学院、朝聯有馬初等学院を整備。47年5月、河川敷にある竹藪を切り開き、神津朝鮮人小学校の校舎を建てる(現在地)。48年4月、神津地域の残り2学院を統合し、朝聯伊丹初等学校に改称。4・24教育闘争時には一時的に伊丹市立神津小学校桑津分校として運営。66年からは自主運営を再開し、9月に新校舎を落成(幼稚班を併設)。69年、川辺初級と統合。1995年1月の阪神淡路大震災で全壊。97年3月に新校舎落成。2002年、宝塚初級と統合。2021年に創立75周年を迎えた。
データ:</strong金幸一校長/園児:6人、児童:24人/学区:伊丹市、宝塚市、川西市
〒664-0839 兵庫県伊丹市桑津1-4-7
Tel:072-782-5367
幼保無償化求め、多くの果実
運動場には色とりどりの遊具があり、運動場を囲うようにモクレンの木や川西支部顧問たちが植えた花や、朝鮮カボチャ、サツマイモ、エゴマ、トマト、トウモロコシ、タマネギ、ピーマン、そして「朝鮮学校を支える宝塚市民の会」の故・田中ひろみさんが生前に植えたひまわりが元気に育っていた。
2020年6月、日本の自治体で初となる「外国人学校幼稚園に救済措置を求める請願」が宝塚市議会で採択されたのに続き、10月には伊丹市議会でも同様の請願が採択された。両地域には伊丹初級に通う園児、児童たちが暮らしている。これら画期的な請願採択に尽力したのが、「朝鮮学校を支える宝塚市民の会」をはじめとする日本の支援者たちだ。
「75年間、地域同胞や同じ地域に暮らす日本市民の協力のもと、民族性を育み、伝統ある学校を築いてきた。これからも朝・日の連帯、協調を育みながら同胞コミュティとしてのウリハッキョ、子どもたちの笑顔あふれる、愛される学校作りを目指していきたい」と金幸一校長(57)は意気込む。
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