李承信のことば/東京中高ラグビー部を激励
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ラグビー日本代表として、鮮烈なデビューを果たした李承信選手(21、大阪朝鮮高級学校出身、コベルコ神戸スティーラーズ)が8月19日、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)ラグビー部の練習を指導し、部員たちを対象に講義を行った。代表選出後、李選手は母校の大阪朝鮮中高級学校を訪れている。
同校ラグビー部後援会(姜宗卓会長)の招待で同校を訪れた李選手は、午前中にチームでの練習を終え、新幹線で午後3時に同校に駆け付けた。最初に東京朝中中級部と帝京大学中学校のラグビー部の生徒たちに、基本のパス回しなどを教えた。
続いて高級部へ。31人の部員たちは、花園予選を1ヵ月に控えていることもあり、実践的な質問を投げながら、李選手の指示を仰いでいた。
宋賢寿さん(高3、ナンバー8)は、「チームの課題はディフェンスシステムの改善で、この夏の菅平合宿で取り組んだ。今後は強豪相手に通用するものに仕上げていきたい。李選手の指導を受けながら、みんなとコミュニケーションを深め、花園予選に向けていい形に仕上げていきたいと思った」と感想を語っていた。
練習が終わった後に講義を行った李選手は、「花園に出ることによって在日同胞に夢と希望を与えたかった。それを使命と捉えていた」と朝高進学の動機を振り返り、
「2023年のワールドカップのことしか考えてない」と日本代表としての抱負を力強く語っていた。
李承信選手への質疑応答も行われ、
・うまくいかない時は、どうやって気持ちを切り替えてますか?
・ラグビーを続けていく上で辛かったことなどはありますか?
・試合前のルーティンはありますか?
・李選手にとってラグビーとは?
・自分を見失わないために常に心がけていることはなんですか?
・今が自分のベストの体重ですか?
―などの質問が飛び交った。
李選手の講義の要旨を紹介したい。
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”小さなことを積み重ねて”
4歳からラグビースクールに通い、中3の時には強豪校から誘いをいただいたが、「ルーツを知って、大きい人間になりたい」と思いがありました。
朝高として花園に出ることに価値を感じ、大阪朝鮮高級学校に進学しました。
朝高は、日本の学校と違ってスカウトもない。
全員で切磋琢磨して花園に出ることに、日本の学校とは違う価値があると思っていました。
大阪朝高に入ってから、一日一日を積み重ねて、花園に出ることだけに集中していました。
今、みんなも一生懸命ラグビーをしていると思いますが、
自分は今、「小さい積み重ね」が、大きい成功になると感じています。
”ラグビーを好きになって”
朝高時代は、誰よりも早く朝練にも早く行き、自主練をしてから、全員練習に参加していました。
全員練習が終わった後も、ルーティーンを決めてキックの練習などを続けました。
チームの中で、「誰よりも一番うまい存在でいたい」という思いが、行動に出ていたと思います。
この中でラグビーをしたいという子もいるし、やらされていると感じている子もいると思います。
ラグビーをうまくなろうと思ったら、好きになること。
好きになってこそ、向上心が生まれる。
その中から、自分がやるべきことが出てきて、成長できると思います。
ここにいる全員に、ラグビーを好きになってほしい。
そして、どうすれば自分がラグビー選手としての強みを出せるのか、
どういう人間になっていきたいのかを、自分の中で明確に持ってほしい。
朝高生たちは、在日同胞の代表
自分が(ラグビー)リーグ1に出て、日本代表になって一番応援してくれるのは、各地方の在日同胞の方たち。一番の励みになっています。
朝高生たちが花園に出ることによって、同胞たちに夢と希望を与えられる。
朝高生たちは在日同胞の代表です。
花園に出ることを使命と感じて、一日一日を過ごしてほしい。
自分の最終的なゴールとしては、現役生活を終えるまで李承信の名前で活躍するし、在日同胞として色んなメディアでアピールしていきたい。
同胞の中で初めて日本代表になった者として、誰も見ていない道を作っていきたい。
僕の存在に可能性を感じた朝高の後輩たちが、大学でもラグビーをして、
いずれ(日本)代表になって一緒にプレーするのが夢。
誰も見ていない道を切り開き、
君たちがこの世界で活躍できるように、みんなのことをモチベーションに頑張っていきたい。
同じ在日同胞として、頑張る立場は違うけれど、信念、アイデンティティ、使命は同じだと思う。スペシャルな環境の中で、日本社会の中で特別な人になれるように、小さいことを積み重ねてほしい。自分に憧れるのではなく、自分を越えて行ってほしい。(瑛)
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