無年金問題、時間がない―映画「オールド ロング ステイ」を見て
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8月5日の日刊イオで(瑛)さんが紹介していた映画「オールド ロング ステイ」(飯山由貴監督)を見ました。
2000年、京都府在住の在日コリアン聴覚障害者7人が、無年金差別を是正するため、訴訟を起こしましますが、映画は障害者と、京都コリアン生活センターエルファの職員など共に闘う人々の証言を集めたものです。
在日外国人の無年金問題について少し説明すると、日本が難民条約を批准して1982年1月1日から年金に関して国籍条項がなくなりました。しかし、日本政府は1986年4月1日の時点で60歳を超えていた在日外国人高齢者を老齢福祉年金の支給対象とせず、また1982年1月1日の時点で20歳を超えていた在日外国人障害者を障害基礎年金の支給対象とせず、年金から除外しました。沖縄が復帰したときなどに取られた経過措置の救済もなされませんでした。
この問題は、在日コリアンの「障害者無年金訴訟」と「高齢者無年金訴訟」として法廷で争われ、前者は2007年、後者は2009年にそれぞれ最高裁判所で敗訴が確定しています。
映画を見てともに闘ってきたひとりの日本人の言葉が心に残りました。次のような言葉です。
「当事者がどんどん亡くなっている。残された時間が少ない」
「希望がないからとあきらめることはできない」
「日本人としての責任から逃れることはできない」
「高齢者はこの世からいなくなりますよね。存在自体が、放っておいたら、社会的に事件の経過の中で抹消される。何の解決もせずに消えてしまうのはありますから、たぶん僕が死ぬころには、在日無年金問題というのは「過去」あっただけの話で…」
無年金問題もそうですが、日本軍性奴隷制問題、強制連行などなど、日本の対応を見ていると、被害者がすべて亡くなっていなくなるのをじっと待っている。映画を見てそのことをまた強く感じました。
今日は関東大震災が起こって99年になる日ですが、その時に朝鮮人虐殺を体験した被害者も加害者も、ほとんどいなくなっています。(k)