高校無償化裁判と「はた出し」
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今月初め、NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」を見ていると、「裁判のニュースで見る、“勝訴”や“無罪”の紙を持って走ってくる人って⋯誰なの?」という質問をチコちゃんがしていた。後で調べてみると、その日の放送は2021年6月18日放送の再放送だったようである。
「勝訴」などの紙をもって示すのは裁判につきものだ。私はあの行為を「はた出し」と呼んでいた。番組ではあの紙を「はた」または「びろーん」と呼ばれていると紹介していた。
紙を持って走る人は誰か? 番組ではその答えを「足の速い若手弁護士」だと言っていた。
「はた出し」は直接2度見たことがある。いずれも高校無償化裁判で、1度目は愛知無償化裁判の一審の判決言い渡し時(18年4月27日)、2度目は東京無償化裁判の二審の判決言い渡し時(18年10月30日)だ。いずれも朝鮮学校側の敗訴の判決が出た。
高校無償化裁判で言うと、敗訴の場合、判決言い渡しは「本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする」と極めて簡単で、「はた出し」もすぐに行われる。こちらに向かってくるときの表情で敗訴したことがすぐにわかった。
高校無償化裁判は日本各地の5ヵ所で行われ、一審、二審と10回の判決言い渡しがあったが、勝訴したのは大阪地裁(17年7月28日)のみだ。その時の「はた出し」は直接見ていないが、SNSにアップされた動画を何度も繰り返し見た。
若い男女二人の弁護士が一刻も早く全面勝訴した判決結果を知らせようと走ってくる。満面の笑みを浮かべ喜びの涙を見せながら詰めかけた人々の前に走り、誇らしげに「勝訴」「行政の差別を司法が糾す!」と書かれた紙を示す。その瞬間、裁判所に駆け付けた朝高生や同胞、日本人がお互いに抱き合いながら喜びを爆発させていた。その姿を見て私もただただうれしくて目頭が熱くなった。
13年から始まった高校無償化裁判は昨年7月27日、最高裁が広島訴訟の上告を棄却したことで5カ所で行われていた裁判が終結、朝鮮学校側の敗訴が決定している。
しかし、裁判を行ったことで民族教育の正当性を示す膨大な文書が提出され、闘いの中で民族教育を守り発展させ支援しようというネットワークが拡大強化された。非常に意義のあった裁判闘争だったし、裁判の結果はどうであれこれからも民族教育は続いていく。
その無償化裁判と関連する集まり「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム」が10月22日(土)13時30分から、東京朝鮮中高級学校で行われる。裁判を闘った各地の弁護団や団体から代表らが参加し、無償化裁判について報告しディスカッションを行う。どのように裁判を振り返るのか。注目したい(事前申込制)。(k)
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「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム」
日時:2022年10月22日(土)
13時30分~16時30分(13時開場)
会場:東京朝鮮中高級学校(東京都北区十条台2-6-32)
(オンラインとのハイブリッド開催)
参加費:無料(現地参加の場合、資料代1000円)
第1部 シンポジウム「朝鮮学校無償化裁判の到達点と課題」
・基調報告(朝鮮学校無償化裁判・東京弁護団から)
・パネルディスカッション
藤永壮 (大阪産業大学教授、歴史学)
石井拓児(名古屋大学大学院教授、教育学)
丹羽雅雄(弁護士、大阪弁護士会)
裵明玉 (弁護士、愛知県弁護士会)
コーディネーター 李春熙(東京弁護団)
第2部 朝鮮学校支援に関する全国各地からの報告
※終演後、学校内で弁護士懇親会を開催します(弁護士対象、参加費別途徴収予定)。フォーラムは(13:30~16:30)は一般参加歓迎
●申込方法 グーグルフォームからお申し込み下さい
(現地参加の場合も申込必要)https://docs.google.com/…/1FAIpQLSc5bbtfgI6pLT…/viewform
https://note.com/bengoshiforum/n/nf2a74f460b37