vol.10 差別は許さない 法務省、ヘイト書き込み192件を違法と認定
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酷い差別を受けると、被害者は得てして反論の言葉を失い黙り込む。ヘイト暴力特有の被害と言われる「沈黙効果」である。無力感や、努力して積み上げた社会への信頼感覚の喪失など、理由は幾つも指摘されるが、大きいのは更なる攻撃の危険だ。ましてや被害を公に訴えれば、自らに向かう敵意/悪意は不特定多数に広がる。レイシストによるネット上での罵詈雑言はその典型だ。被害者を「黙らせる」この構造に抗う当事者の闘いが、反差別の水位をまた一段、高めた。
「共生のまち」川崎市・桜本の「ふれあい館」館長で、実名と顔を晒してヘイト暴力の根絶を訴えて来た崔江以子さん(1973年生)である。ブログやツイッターなどの彼女に対するヘイト書込み中300件について、彼女と弁護団は2020年12月、法務省横浜地方法務局に削除要請を依頼した。同局は、うち64%にあたる192件(ブログ・掲示板約95%、ツイート約60%)を違法な人権侵害と認め、22年6月までに順次、プロバイダー企業に削除を要請した。
崔さんへの攻撃が始まったのは15年、地元で暮らすハルモニらが企画した「安保法制反対デモ」だ。…。(続きは月刊イオ2022年11月号に掲載)
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