vol.11 故郷を創る 30回目の東九条マダン
広告
故郷――。出生地や、幸せな時期を過ごしたところ。国家暴力で根こぎにされる前、祖父母らが過ごした地に思いを馳せる者もいれば、大切な人が居る空間をそう呼ぶ者もいるだろう。様々な答え、解釈がある問い。加えて私にとって「故郷」とは、「創るもの」だ。
そんな思いを抱くに至ったのは、「東九条マダン」の存在が大きい。年に一度、京都市南区東九条エリアで催されてきた文化創造の祭りが、今年で30回目の節目を迎えた。コロナ禍で二年のオンライン開催を経て、三年ぶりの対面開催である。
10月30日、会場は少子化で廃校になった元小学校。開始の30分以上前に校門をくぐると、ステージの校庭を取り巻く形で出店が並ぶ。感染対策で飲食物がないのは寂しいが、作業所で制作した缶バッジ、東学農民戦争やハンセン病政策に関するパネル、夜間中学生が書いた書画の展示もあれば、クイア映画祭のコーナーもある。まだ設営中の店も少なくないが、次々と参加者が会場に入り、あちこちで挨拶が交わされている。この交歓の場がどれだけ渇望されていたかの証明だった。
ここ「東九条」は、京都最大の在日朝鮮人集住地域だ…。(続きは月刊イオ2022年12月号に掲載)
以上は抜粋になります。全文ご覧になるには本誌をご覧ください。定期購読のお申し込みはこちらへ。