廃案一択!―入管法改悪反対アクションに350人
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4月13日に入管法改悪案が国会で審議入りしたことを受け、これに反対する緊急アクション(主催:NPO法人移住者と連帯する全国ネットワークなど3団体)が、同日19時から東京・永田町の国会議事堂前で行われ、国会議員や弁護士、難民申請者、仮放免者らを支援する日本市民、約350人が集結。「移民、難民を人間扱いしてない」「一番弱い人を攻撃する法案」「廃案一択」の声をあげた。
入管法改悪案は2年前の2021年の通常国会に提出されるも、同年3月に名古屋入管で死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんの処遇をめぐって反対世論が高まり、5月に廃案に追い込まれた。
しかし、政府は再度、①難民申請は2回までの制約を設ける、②国外退去令に従わない人には刑罰を与える―などとする前回同様の法案を3月7日に閣議決定。4月13日から衆議院で審議が始まっている。
緊急アクションでは、石川大我、大椿ゆうこ、高良鉄美ら参議院議員、本村伸子衆議院議員らが発言し、「人間として扱っていない、と批判の高かった入管法とほぼ同じものを出してくること自体が政府の傲慢。許すわけにはいかない」(本村議員)と国会で闘う姿勢を示した。
ウイシュマさんの2人の妹も登壇し、「姉のように入管内で死ぬ人が二度と出ないように、改革をしなければならない」と切願した。
ワヨミさんは、
「今日、国会の傍聴をしてきました。斎藤法務大臣は名古屋入管の事件について、適切な改革が行われていると説明しました。姉の死因がわからないと言い、誰も責任を取っていないのに、適切な改革をしているとは考えられません。
昨年11月にイタリア人の方が東京入管で自殺しました。入管で改革が行われているのなら、このような事件は起きなかったはずです。姉の事件が解決していないのに、政府が入管法を変える法律案を提出して審議をすることは納得できません。
姉の事件について、多くの学生や市民が応援してくれています。姉のように入管内で死ぬ人が二度と出ないように、改革をしなければならないと思います。皆さんと一緒に姉の死因の真相を解明し、本当の改革を進めたい」と訴えた。
続いて、妹のポールニマさんも、姉の死因に向き合わず、入管法をさらに改悪しようとする政府への怒りをぶつけた。
「私も今日、国会の傍聴をしました。斎藤法務大臣は『弁護団がビデオを勝手に編集した』と言いました。今日そのことについて質問されても、ちゃんと答えませんでした。事件から2年近くも姉のビデオを渡さなかった法務大臣がこんなことを言うことは許せません。ビデオを日本の市民や国会議員に見せたくないから、こんなことを言っているのではないでしょうか。
法務大臣は『最終報告書は正しい。ビデオとの間に食い違いはない』と言いました。
最終報告書だけでは、姉が必死に助けを求めているのに、入管が何もしなかったことはわかりません。国会議員にビデオをちゃんと見せるべきです。姉の死のようなことを繰り返さないためには、日本の市民にビデオを公開すべきです。そうでなければ、入管は同じことを繰り返します」
緊急アクションでは、
飯山由貴さん(美術家)、弁護士の鈴木雅子、大橋毅さん、丸山由紀さん、礒元メリッサ 瑠奈さん(Voice Up Japan)、在日朝鮮人3世のうひさん(アクティビスト)、安田浩一さん(ジャーナリスト)、周香織さん(クルド人Mさんを支援する会)宮島ヨハナさん(人権アクティビスト) 、金井真紀さん(「難民・移民フェス」発起人・作家)、鳥井一平さん(移住連 共同代表理事)らが次々と発言し、非人間的な入管行政のもと、底辺で苦しむ人たちの声を代弁した。
ジャーナリストの安田浩一さんは、「入管法の背骨は、この国に不必要だと認められた人を追い出すための政策であり、システムであり装置。追い出すための装置として入管収容施設が作られ、多くの人が亡くなり、多くの人が自ら命を絶ってきた。今ある入管は徹底的に解体すべきです。廃案に追い込むべきです」と訴えた。
トルコでの迫害を逃れ、日本で難民申請をしているクルド人を支援している周香織さんは、
「皆さん、2年前を思い出してください。市民の声に応えて、野党議員の方々が、国会でウィシュマさんの死の責任を法務省や入管庁に追及しました。
誠実な答弁を行わず、改ざんや隠ぺいとも取れるような法務省や入管庁の姿を、新聞やテレビが連日のように報道しました。従来からの国会前のシットイン、座り込みや議員事務所へのファクスなども並行して行いました。新しいスタイルの意思表示、市民運動が生まれ、市民の不信感と真実を求める声は日を追うごとに大きくなり、ついに法案は廃案になりました。私たちの声は社会を変える力があります」と呼びかけた。
法務委員会で始まる法案審議に向け、4月14日からは衆議院第2議員会館前で市民たちの座り込みが行われている。「どんなことがあっても、法案を通さない」という抵抗の意思表示が続く。(瑛、哲)