入管法改正案は廃案しかない
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出入国管理及び難民認定法(入管法)改正法案が3月7日の閣議決定を経て4月13日に衆議院で審議入りしてから約2週間。近く衆議院で強行採決されるのではないかという危機感も広がる中、難民や外国人支援団体メンバーや市民からは「廃案」を求める声が一層高まっている。
国際人権基準に著しく違反するなどとする強い批判の声が国内外から上がり、結局廃案になった2021年の法案と同様の骨格が維持されている今回の法案をめぐって現在、与野党間で法案の修正に向けた協議が行われている。自民、公明の与党両党と野党の立憲民主党、日本維新の会との間で21日から行われている修正協議が山場を迎えた25日には、与党側が難民認定審査を行う第三者機関の設置を「検討する」と明記した付則を加えるなどした修正案を野党側に提示した。与党側の修正案を持ち帰った野党側がどのような判断を示すのか、今後の成り行きに注目が集まっている。
「入管法の改悪反対」「法案の修正ではなく廃案」を求める声は日増しに大きくなっている。国連人権理事会の専門家らも18日付で日本政府に対し、入管法改正案が「国際的な人権水準を満たしていない」などと懸念を表明する内容の共同書簡を送っている。
法案の閣議決定後から各地で廃案を求めるアクションが行われている。与野党の修正協議が始まった21日の夜には国会前で大規模集会が開かれ、約2000人が集まった。
スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが収容施設内で命を落とした事件をはじめとするこれまでの非人道的な対応について、入管も法務大臣も何ら反省も責任もとっていない。そのような状況の中で改正される法律が果たして良いものになるのか、火を見るより明らかだろう。変えるべきは現在の入管のあり方そのもので、改正案は廃案一択しかない。(相)