朝鮮学校の子どもたちへ補助金復活を 第2回都議会勉強会、安英学さんが講演
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東京都こども基本条例から朝鮮学校の子どもたちへの補助金支給について考える勉強会「東京都こども基本条例に基づき朝鮮学校の子どもたちの声に応える適切な施策への反映を求める 第2回都議会勉強会」が6月22日、東京都議会第2会議室で行われた。
上村和子国立市議会議員はじめとする都議会勉強会実行委員会(事務局)のメンバーや「ハムケ・共に」などの朝鮮学校支援団体、都議会議員25人、区議会議員と市議会議員4人、議員団事務局3人、朝鮮学校関係者、一般市民など合わせて82人が参加した。
今回の勉強会では「こどもの最善の利益を最優先とする」(第3条)という条例の基本理念について学ぶという趣旨のもと、元Jリーガーでサッカー朝鮮民主主義人民共和国代表でも活躍した安英学さんが講師を務めた。
2010年から朝鮮学校に対して東京都の補助金が停止され、「都民の理解が得られない」という理由で現在に至るまで差別が続いている。都の子ども基本条例から朝鮮学校に対する補助金不支給問題について学ぶ勉強会は朝鮮学校支援団体主催のもと、千代田区、文京区、武蔵野市などさまざまな場所で行われてきた。学習会を主催する朝鮮学校支援団体は5月27日に三宅しげき東京都議会議長と小池百合子東京都知事宛てに要請書も提出している。
勉強会の第1部では「夢は叶う!~スポーツを通して橋を架ける~」というタイトルで安英学さんが講演を行った。「夢は叶う!」とは安英学さんが一貫して掲げているスローガンだ。安さんは自身の生い立ちや、朝鮮学校時代から現役時代までのサッカー人生などについて語り、元日本代表の本田圭佑選手との名古屋グランパス時代の秘話も明かした。そして安さんは朝鮮学校に対する思いを話しながら「朝鮮学校に12年間通いながら、自分が誰なのかを学んだ。すべての朝鮮学校の子どもたちを自分の可愛い後輩として思っている」とのべた。
さらに安さんは自分が中級部3年生の時、Jリーグが始まり、当時初の在日朝鮮人プロサッカー選手だった申在範さんの姿を見て日本の地でも在日朝鮮人としてサッカー選手になれるという可能性と希望を実感したという。最後に安さんは「夢がもし叶わなくても夢を追い続けた過程は貴重なものになるということを子どもたちに引き続き伝えていきたい」と熱く語った。
講演に続いて、川松真一郎都議会議員と安さんとの対談が行われた。対談では、ラグビーフランスW杯に向けた日本代表合宿に在日朝鮮人ラグビー選手として臨む李承信さんの話題も出た。
第1部の最後に校長、生徒、保護者など都内の朝鮮学校関係者6人が発言した。
第2部では、地域市民学習会の報告やチマ・チョゴリ友の会の松野哲二さん、日朝友好促進東京議員連絡会の保坂正仁共同代表、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会共同代表の長谷川和男さんが発言した。
講師の安英学さんはメディアとの質疑応答の中で、「学校運営や児童・生徒数減少などの課題もあるが、私は横浜朝鮮初級学校と神奈川朝鮮中高級学校の理事を務めながら、みなで力を合わせて活動することにやりがいを感じている」とのべた。また、「子どもたちを仲間はずれにしないという学校関係者の思いを、まだ朝鮮学校の補助金支給に理解が得られていない議員や都民に届けてほしい」と願いを語った。
次回の学習会は7月22日に「朝鮮学校を支える町田市民の会」の主催で行われる予定だ。
以下、参加者のコメントを紹介する。
須山たかし都議会議員(42、立憲民主党)
「今まで勉強会には何回も参加してきた。さらに東京朝鮮高校の学校見学の手配なども含め朝鮮学校の問題に取り組んでいる。政治的に偏った理由で補助金を停止しているのは明らかな差別だ。これから公平公正に子どもたちに権利があたえられるよう、支援活動を行っていきたい」
金栄愛さん(57、女性同盟・東京都板橋支部副委員長)
「各地域に朝鮮学校支援団体ができているのはとても大事なことであり、支援する会を通して日本の方々と在日朝鮮人との間に交流の輪が広がっていくことは素晴らしいことだと思う。6月30日には練馬区議会議員のみなさんたちが東京第3初級を訪問する予定だ。今後も朝鮮学校を支援する人たちをもっと増やしていくために、女性同盟板橋支部も地域の人たちと一緒に活動に励んでいきたい」
藤森洋子さん(73、チマチョゴリ友の会メンバー)
「安英学さんの夢をあきらめなかった姿に感激した。子どもたちにも是非、安さんの講演を聞かせたい。これからも日本人として当事者意識を持って朝鮮学校の問題に取り組んでいきたい」
木原恵さん(47、「ハムケ・共」にメンバー)
「スポーツで朝鮮半島と日本の間に橋を架けた安英学さんの話に聞き入った。『ハムケ・共に』で活動を始めたのは、自分が知らなかった歴史問題に目を向けたのがきっかけだった。これからも朝鮮学校問題や在日朝鮮人問題に関する活動に取り組んでいきたい」