関東大震災100年関連行事、新宿区が後援せず
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高麗博物館(東京都新宿区)で7月5日から始まった企画展「関東大震災100年―隠蔽された朝鮮人虐殺」が好評開催中だ。
先日、同企画展を取材した(哲)さんの記事 https://www.io-web.net/2023/07/kourai0705/ にもあるように、ソウルの植民地歴史博物館との連携企画である今回の展示では、高麗博物館前館長の新井勝紘さんが発見した「関東大震災絵巻」も公開され、話題を集めている。
SNSでも連日のように観覧の感想が投稿されている。私もこの連休中に足を運ぼうと思っていたが、子どもの急病にここ数日の災害級の酷暑も重なって断念した。
そんなところに昨日、次のような投稿がSNSのタイムラインに流れてきた。投稿者は新潟大学教授の逸見龍生さん。
https://twitter.com/camomille0206/status/1680744043935068160?t=b4VSs2FDSR3ioSt3j6TrNA&s=06
これまで毎年、高麗博物館の関東大震災関連イベントは新宿区からの後援がされてきた。ところが、百年にあたる今年、多文化共生推進課は「その内容を拝見したところ、区の施策の方向性と異なるものであることから、後援することはできない」と拒否。〈虐殺〉という文字があるから、と新井勝紘元館長。
この「区から後援を拒否された高麗博物館の関東大震災関連イベント」とは、きたる7月31日に新宿区立四谷区民ホールで行われる「関東大震災から100年の今を問う~過去に学び、未来の共生社会を作るレッスン~」。
逸見さんのツイートに添付された画像は、この件に関して新宿区地域振興部多文化共生推進課が認定NPO法人高麗博物館の村上啓子理事長にあてた文書。核心となる部分を以下に引用する。
区では、日本人と外国員が共に暮らす多文化共生のまちづくりを推進するため、日本語学習の支援や多言語による情報提供、交流事業の開催等に取り組んでいます。
過日、貴団体から後援名義のお話がありました「関東大震災から100年の今を問う~過去に学び、未来の共生社会を作るレッスン~」については、その内容を拝見したところ、区の施策の方向性と異なるものであることから、後援することはできないと判断いたしました。
東京都でもっとも多くの外国人が住み、全人口に外国籍住民が占める割合も11.9%ともっとも高い自治体の多文化共生施策の現状がこれである。「過去に学び、未来の共生社会を作る」という趣旨で行われるイベントを後援しないという区の姿勢は、小池百合子知事が朝鮮人虐殺慰霊祭への追悼メッセージを6年連続で送っていないこと、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件を扱った飯山由貴さんの映像作品を上映禁止にしたことなどの東京都の一連の対応とも無縁ではないだろう。
先日の日本政府による国会答弁と合わせて、関東大震災時の朝鮮人虐殺から100年を迎える日本の今の風景の一つとして記録しておきたい。(相)
7月31日のイベントの詳細は以下のとおり。
『関東大震災から100年の今を問う~過去に学び、未来の共生社会を作るレッスン~』
日時:7月31日(月) 開場 18時/開演 18時30分(終演は21時)
場所:新宿区立四谷区民ホール
第1部 新井勝紘(高麗博物館前館長)「関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く」
第2部 徐京植(高麗博物館理事)「韓国現代アーティストの映像作品に見る『ルワンダ虐殺の記憶』」
料金:チケット 前売り:2000円/当日:2500円/学生:1000円(全席自由)
問合せ:認定NPO法人高麗博物館
Tel:03-5272-3510