vol.19 未来を拓くハンメの言葉 『アリランラプソディ』京都で先行上映
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文字を獲得すること、そして、書き、表現するとは人にとっていかなることだろう。人間存在の根幹に関わるこの問いに人を誘うドキュメンタリーが完成した。川崎市桜本地区に暮らすハンメたちの日常を20年以上にわたって記録した、金聖雄監督『アリランラプソディ』である。
京都市南区で6月25日、出演したハンメのうち6人を迎えての先行上映会があり、270人が来場した。上映後、舞台に立った一人、徐類順さん(1926年生)の一言が、その場の空気の暖かさを表していた。黄色いチマチョゴリを纏った彼女は、涙をこらえて言った。「こんなに集まってもらって……、胸がいっぱいです」。
彼女たちの作文や絵の数々が映画を形作る。1988年、「せめて名前を書きたい」という一世女性の願いで始まり、今も「川崎市ふれあい館」で続く共同学習の場「ウリマダン」で生まれた作品群だ。一世、二世の女性たちを社会から排除してきた、いわば社会の「門番」たる文字が、今度は彼女たちに世界の意味を囁く。「いろいろなことがあった。よくいきてきた。にんげんはつよい」。「私たちの広場」で形を得た徐さんの思想であり、詩である…。
(続きは月刊イオ2023年8月号に掲載/定期購読のお申し込みはこちらへ。https://www.io-web.net/subscribe/