過去を記憶し、伝えていく努力を 留学同東京主催で関東大震災朝鮮人虐殺100年特別展示会
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7月30日、東京都文京区にある文京シビックセンターで特別展示会「関東大震災・朝鮮人虐殺から100年 いま何をするべきか」が開催され、多くの学生や一般市民、在日同胞が訪れた(主催=在日本朝鮮留学生同盟東京地方本部)。
会場には虐殺の歴史的背景、責任追及・真相究明のための取り組み、日本による朝鮮侵略・朝鮮人虐殺の歴史など関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する20種類の展示物とその他にも書籍、参考資料などが展示された。
展示会の午前には自由に展示物を観覧できる時間が設けられた。留学同東京のメンバーたちがスタッフとして参加者たちに自ら作った展示物の内容を発表した。
午後には特別企画として映像「歴史を繰り返してはならない 2003」上映会とゲストトーク「いま、歴史とどう向き合うか 日韓のモヤモヤと大学生のわたし」が行われた。ゲストトークでは牛木未来さん(一橋大学大学院社会学研究科修士課程)が講演を行なった。展示会の最後には8月21日に行われる「トルパ(突破)プロジェクト」に関する説明があった。
「トルパプロジェクト」は朝鮮人虐殺の歴史を記憶し朝鮮人差別に反対する朝日大学生一大行動実行委員会の主催のもと行われ、16時からデモ・パレード、18時から集会が予定されている。
トルパプロジェクトに関する内容は、https://www.io-web.net/ioblog/2023/07/31/91422/を参照。
留学同東京では昨年2月にも2.19特別展シンポジウム「在日朝鮮人運動の歴史・現在・未来」を開催した。
今回の展示会を開催するために留学同東京ではメンバー19人が全員で準備を行ってきた。
同メンバーたちは多くの資料を読み込み、参考にしながら、まずは自分たちで自主的に学習を行い、それを自分たちがこの問題に対して深く考える契機にしようと意見の一致を見た。展示物も全て自作した。
今回の展示会を企画したメンバーの1人である金泰瑛さん(留学同東京 千葉支部支部長)は「小池百合子都知事が追悼集会に追悼文を送らない問題も含め歴史修正主義が社会的に蔓延する中でも、朝鮮人虐殺の事実を日本の人に知ってもらう機会を設け、また留学同東京のメンバー内でも関東大震災朝鮮人虐殺100年に対する意識を今一度しっかり持とうというのが同展示会の目的だった」とのべた。また「同年代である日本人学生たちにも関東大震災での朝鮮人虐殺の事実を知ってもらいたいという思いがあり、彼らにも参加を積極的に呼びかけた」とし「当時、生きていた在日同胞の話を直接聞いた方も減ってきている中、この問題をしっかり知り、記憶し、伝えていくのが大事だということを留学同東京のメンバー全員が実感する期間になった。」と語った。(國)
来場者の感想
韓玹さん(一橋大学大学院 社会研究科修士1年、23)
「関東大震災時の朝鮮人虐殺の問題には昔から関心があったので、法政大学2年生の時から横浜の関東大震災関連のボランティアに参加し、今回の展示会にも参加した。今日の展示会を通して、日本社会がもっとこの問題に向き合う必要性があると実感した。歴史の事実が歪曲される社会で今日の展示会のような活動は大事だと思った」
丁琳菜さん(朝鮮大学校文学歴史学部歴史地理学科4年、21)
「牛木さんの講演を通して、日本人がこの問題についてどう考えているのかを知ることができた。そして自分自身もこの問題について知ることが大事だと実感した。朝鮮大学校の学生として留学同のメンバーたちと在日朝鮮人問題について考えられるのは大事な機会だと思った。日本社会で歴史修正主義の考えがさらに広がる前に自分たちがまずしっかりした歴史観を持ち、日本人にそれを発信していくことが大事だと思った。」