【イオニュースPICK UP】追悼文送付とヘイト集会停止を求め 関東大震災朝鮮人虐殺100年、各団体らが要請
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関東大震災の発生から100 年となる9月1日に、差別団体「そよ風」が都立横網町公園(墨田区)の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑の前で、「真実はここにある! 関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭」と称する集会を開催することについて、各方面から非難の声が上がっている。市民有志らは東京都に対して、会場の利用制限など集会の開催を認めない判断を下すよう要請している。
8月16日から20日にかけて横浜市で行われた「関東大震災100年ぶりの慟哭 アイゴー展」に作品を出展した韓国人、在日コリアン、日本人の美術作家たちは「関東大震災朝鮮人犠牲者を追悼し、死者への冒涜を止める」ことを求めて30日に東京都庁を訪ね、小池百合子都知事、都の総務局人権部、建設局公園緑地部宛に要請書を提出した。
この日、要請書を手に「アイゴー展」の作家たちが都の人権部と公園緑地部の職員たちと直接話し合いを行った。集まった作家たちからは、「都知事が追悼文を送付しないという姿勢がヘイトスピーチを助長させている」と都の姿勢を問う意見や「都が許可を出している集会が差別発言の発信源になってしまっている」との懸念が示された。
要請書では、都と都知事が「過去から目を背けず、今の差別を許さず、未来の悲劇を防ぐこと」を求め、具体的な内容として、都知事が9月1日の関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送ること、横網町公園の朝鮮人犠牲者追悼碑前で計画されている差別主義団体「そよ風」のヘイトスピーチ集会を止めることに加えて、「ヘイトスピーチを許さない都人権部が9月1日に朝鮮人犠牲者追悼碑前に来」ることを求めた。
これに先立ち、29日にはノンフィクション作家の加藤直樹さん、劇作家・演出家の坂手洋二さん、小説家で法政大学教授の中沢けいさんの3人が呼びかけ人となり、東京都に対して「そよ風」による朝鮮人犠牲者追悼碑前での集会に「利用制限」適用をするなどヘイトスピーチ集会を認めないよう求める声明を発表した。
声明は、差別主義団体「そよ風」が9月1日に朝鮮人犠牲者追悼碑の前で行う集会は「許しがたい最悪の死者への冒涜であり、行動そのものが民族差別である」と強く非難した。声明は、この集会が 「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」(オリンピック条例)が定めるヘイトスピーチ=「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」 に相当する」、同条例はヘイトスピーチが行われる蓋然性が高く、それに起因して施設の安全な管理に支障をきたす蓋然性が高い場合に、施設の「利用制限」ができると定めているなどと指摘、「慰霊の公園」で公然と死者を冒涜すること自体が、横網町公園の「慰霊」という機能に支障をきたし、慰霊のために公園を訪れる人々に対する精神的暴力となると懸念を表明した。そのうえで声明は、施設管理者たる東京都建設局公園緑地部 が「利用制限」の判断を下すべきであり、少なくとも、条例に基づいて人権審査会に諮問し、その意見を聴取すべきだと訴えた。
同声明には発表の時点で学者、弁護士、ジャーナリスト、作家、宗教人など56人が賛同人に名を連ねている。
(文:李相英・康哲誠、写真:康哲誠)