資本主義の限界と弊害-本の紹介、『ゼロからの「資本論」』
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数カ月前に写真の本『ゼロからの「資本論」』(斎藤幸平著、NHK出版新書)を買って読みました。
著者の斎藤さんは、東京大学准教授、マルクス主義研究者で、自らをマルクス主義者だと言っています。
この本を手に取ったのは、斎藤さんが2020年に出版した『人新世の「資本論」』(集英社新書)という本を当時読み感銘を受けたので、同じ筆者の本を購入したのでした。『人新世の「資本論」』はこの手の本としては異例の50万部突破を記録し新書大賞を受賞しています。
『人新世の「資本論」』も『ゼロからの「資本論」』も、簡単に説明すると、際限なき利潤追求をする資本主義の限界を解き、新たな社会づくりを提唱しています。
『ゼロからの「資本論」』で筆者は、今の資本主義の限界と弊害について、貧富の差の拡大、地球環境の危機にともなう干ばつや山火事や洪水、水不足・食糧不足などをあげていて、これらの問題を解決するためにマルクスの思想をこれから社会変革のため活かしていくべきだと主張しています。
そのためにマルクスの『資本論』を今日的視点で読み直すというのが本書の内容です。
富・価値について、労働・仕事について、環境破壊について、どのような社会を目指すのか…について、6つの章で解説しています。
具体的な事例を一つ挙げると、神宮外苑の再開発にともない樹木が1000本近く伐採され商業施設を建設しようとしています。東京の貴重な緑がなくなる危機に多くの人が反対を声を上げています。筆者は人々が共有してきた豊かな富を破壊して商品に変え、一部の人間だけが儲ける、そんな愚かなことをしてはいけないと訴えます。
本書の中から次の文章を紹介して今日のブログを終わりたいと思います。
「人権問題やジェンダーの問題、環境問題や移民問題も、資本主義の影響を強く受けています。当然ながら、資本主義がなくなったとしても、こうした問題が一気に解決するわけではありません。けれども、資本主義のもとでは様々な不平等が生じ、不平等が多様な「階級」を作って、そこに貧困や困難が固定化されているので、大きな改善をもたらすでしょう。」
まず『人新世の「資本論」』から読み、『ゼロからの「資本論」』を手に取ることをお勧めします。(k)