受け継いだオモニの味、絶品ヤンコプチャン／韓FUll（からふる）（福岡県北九州市）

by R.CHE · 公開済み 2023年12月14日 · 更新済み 2023年11月16日

甘辛い味で〆までおいしいヤンコプチャン（お店提供）

ＪＲ黒崎駅から徒歩5分。商店街の中を進むと彩り鮮やかな看板を掲げた韓国居酒屋の韓FUllにたどり着く。韓FUllは、２００９年7月からＪＲ折尾駅の近くで店舗を構え22年4月頃まで営業していたものの、駅前の土地開発によって移転することとなり、今年6月、現在の場所に新しくオープンした。
店主を務めるのは崔炳智さん（46）。崔さんは幼少期から在日朝鮮人2世であるオモニ（母）・鄭任順さんがふるまう料理を食べてきた。「この味を多くの人に伝えたい」という思いから折尾に店を出したところヒットし、客足が絶えない繁盛店となった。
そんなお店のこだわりは今も昔も「２世の味」だ。店一番人気のヤンコプチャンは国産牛の小腸と上質なミノを、崔さんのオモニが手がけた甘辛い旨味が魅力の特製ダレで味付けした。ホルモンを味わった後は、残ったタレをご飯とからめて〆までおいしい。
チキンもヤンニョムチキンやチーズピリ辛マヨチキンなど、種類が豊富。他にも国産豚を使用したゆで豚キムチに、炭火焼で味わえる博多地鶏の炎焼き、具だくさんのプデチゲも人気だ。
また、一般的な韓国料理屋で出るメニュー以外に、手作りチーズフライや特選博多地鶏のタタキ、プリエビマヨ和えなど居酒屋のようなメニューも揃っていて、辛いのが苦手な人でも楽しめる。〆で食べる甘くて冷たいスイーツも格別だ。
「韓FUll」という名前は、朝鮮大学校外国語学部を卒業した崔さんが、韓国居酒屋の「韓」に「お腹いっぱい」「お客様もいっぱい」「笑顔もいっぱい」という意味を込めて英語の「full」をかけ合わせた。
現在は一線を退いた崔さんのオモニだが、タレやヤンニョムなどの味の監修は怠らない。崔さんは常に味の改良を重ね、新メニューを出しているが、そのたびにオモニがチェックをして「ＧＯサイン」が下りた料理のみを提供しているという。
また、テイクアウト専門店も水巻駅の近くで営んでおり、冷凍自販機での無人販売も始めた。「客足はコロナ前の状態には戻っておらず、客待ち商売の居酒屋だけだといずれ厳しくなってくる」と崔さん。「テイクアウトを活用し、商品を真空パックで冷凍し地方発送するなど、おいしいものを攻めの発想でお客さんに届けていきたい」と展望を語った。