「原動力」を解く
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12月1日、東京朝鮮第5初中級学校(東京都墨田区)応援チャリティーコンサート「未来への一歩」を取材した。創立77年を迎えた同校は現在、大規模改修工事の真っ只中にある。コンサートは、そんな同校のオモニ会およびそのOGたちが、子どもたち、ハッキョの未来を想い企画・推進してきたもの。
当日、客席は約500人の観客たちで大賑わいとなった。
(コンサートの詳細は本誌2024年1月号で確認されたい)
さて、このような取材を進める際、必ずと言っていいほど抱く疑問がある。「オモニたちの原動力は何なのか」ということだ。むしろ自分の取材スタイルの中で「テンプレ化」した質問とも言える。
仕事、家事、育児… どれか一つだけ取っても、身を削るような大変な営みだ。そこにハッキョや地域での活動。実際、今回のコンサートも、約1年間の準備期間を経て実現されたもの。当日も楽しそうに会場に集うオモニたちを見れば見るほど、温かな気持ちになる半面、疑問は深まるばかり。
特にオモニたちの場合(もちろんアボジたちも)、その多くが結婚を機に住むようになった、など、その地域同胞社会とはそれまでは縁もゆかりもなかったり、そもそもそこのハッキョが「母校」ではなかったりと、活動の「動機」を構成する要素は格段と少ないといえる。
「子どものためなら何でもできる」――ほとんどと言っていいほどのオモニたちが「当たり前のように」発するこの言葉。社会人生活を数年続けていれば容易に想像がつく。これがどんなに尊いものなのかを。
同時に、それだけでは言い切れない「何か」があるとも思うのだ。
オモニたちの原動力。答えは一つではないだろう。
何度も目にし、耳にし、自身も書いてきたそしてこれからも書くであろう「ウリハッキョを守っていかなければいけない」という言葉の、さらに深い、深いところにあるもの。一人ひとりの生活の、心の中から湧き上がる想いを今、この時代だからこそ「言語化」していくべきだと切に感じている。(鳳)