16歳の「特別永住者証明書」を更新してきた
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更新義務違反による刑事罰、廃止へ
1月下旬、2月に16歳の誕生日を迎える子どもの「特別永住者証明書」の更新手続きをしに区役所へ行ってきた。
東京都某区の区民部戸籍住民課戸籍住民担当から、封書「特別永住者証明書の有効期間更新申請のご案内」が届いたのは、誕生日の半年前の2023年8月上旬のこと。
案内には、「16歳の誕生日の6ヵ月前から16歳の誕生日まで」に申請をすること、とある。
申請できるのは、「16歳以上の同一世帯の親族」だ。
その4ヵ月後の23年12月にも区役所から8月と同じ封書が届き、出入国管理庁からも案内のハガキが届いた。
区役所への提出書類は、
①生まれた時に支給された外国人登録証明書、
②写真1枚(縦4㎝×横3㎝)、
③有効な旅券(持っている場合のみ)の3点。
③は持っていないので、①②と、代理人である私の身分証明書を持って区役所へ。
実は、2023年6月の入管特例法改定により、16歳のこどもへの「特別永住者証明書」の更新義務違反による「刑事罰」の適用は廃止されることになった。実はこの廃止、同胞たちの11年にわたる運動の結果、獲得されたものだ。
さかのぼること11年。
2012年7月に外国人登録法が廃止され、入管法と入管特例法が改定されたが、法務省の法整備による「過失」によって、16歳のこどもが従来よりもさらに刑事罰適用の危険にさらされることになってしまった(文末の※1参照)。
どういうことかというと、
特別永住者証明書の有効期間更新申請については、
16歳の誕生日を迎えるまでには、同居する父母らに更新申請を行う申請代理義務があるが、
16歳の誕生日までに同居する父母らが申請しなかった場合は、父母らの申請代理義務が消滅し、「本人に申請義務」が生じる。
しかし、本人が申請できるのは、16歳の「誕生日一日限り」となり、誕生日まで申請を行わなかった場合は、16歳本人が「刑事罰」を問われることになる―という決まりになっていたのだ。
今回の改定では、16歳の更新に関してはその「誕生日の前日まで」を更新期限とすることによって16歳になるこども本人には申請義務が課せられないようにし、従来の規定に基づき「誕生日まで」という案内が既に出ている場合は、誕生日を迎えた「こども」を「16歳に満たないもの」と「みなす」ことで、交付申請義務者を「こども」ではなく、こどもと同居している「親族」とするという経過措置規定が設けられた。つまり子どもの誕生日まで、親族が役所に赴いて交付申請を行えばいいとなったのだ(※2)。
刑事罰—。
ドキッとする言葉だ。
外国人が日本に暮らすためには在留許可が必要で、それを証明する特別永住者証明書などの更新義務違反に関しては、「1年以下の懲役または、20万円以下の罰金」という刑事罰が設けられており、この刑事罰が16歳のこどもに適用される危険がある!―常識的に考えて、普通のことではない。
これは、日本が1994年に批准した国連「こどもの権利条約」や23年に日本で施行された「こども基本法」が求めるこどもの「最善の利益」、そして差別禁止原則に反すること!
11年間、法務省などに地道に働きかけてきた人たちの努力によって、2012年7月から11年つづいてきた状態が改善されたのだ。
しかし、課題は残る。
その後の23歳での更新期における期限超過や、住居地変更義務違反などについては、依然として刑事罰が適用されるからだ。
日本の入管法は、その非人道性が問題視され続けているが、わが子の更新を通じて思い出したことは多かった。
過去、私たちの先輩は14歳で黒い指紋をとられていた。私が16歳のときも指紋押捺はあり、犯罪者扱いするような押印は不快だった。当時、指紋押捺義務に従わない場合には、1年以下の懲役若しくは禁錮又は20万円以下の罰金に処せられることになっていた。
私たちの生活基盤は果たして盤石か―。自分自身への問いかけとして「16歳更新問題」を書いてみた。(瑛)
引用・参考
※1:月刊イオ2023年9月号「そこが知りたい ニュースの深層」(金東鶴)
※2 月刊イオ2024年1月号「暮らしの中のQ&A」(宋恵淑)