ドキュメンタリー映画「アリラン ラプソディ~海を越えたハルモニたち~」
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金聖雄監督のドキュメンタリー映画「アリラン ラプソディ~海を越えたハルモニたち~」を観た。
各地での劇場公開がスタートしたがその最初となった新宿K’s cinemaでの上映の初日(2月17日)に足を運んだ。
神奈川県川崎市・桜本に生きる在日同胞のハルモニたちの姿を、初監督作品となった2004年の映画「花はんめ」の撮影時から四半世紀にわたり追ったドキュメンタリーだ。
少し早めに映画館に行くと、金聖雄監督がロビーにいたので、挨拶し少し話をすることができた。
金監督がハルモニたちの姿に自身の母親の姿を重ねていることがわかった。
映画は思っていたよりも深刻な内容だった。ハルモニたちのチャーミングでユニークな場面もたくさんあるが、日本による植民地支配、解放と分断、日本での差別と貧困などが描かれる。
また2015年の安保関連法成立前にハルモニたちが桜本で戦争反対を訴えるデモを実施。15年、16年と桜本地域を襲ったヘイトスピーチデモにも抗議する。
作品の中で気になったのはハルモニたちはたくさん登場するのに、ハラボジは映画の背景の一部として2~3回、一瞬登場するだけでまったくと言っていいほど出てこないことだ。
映画に登場するハルモニたちが生きてきた時代、朝鮮半島や同胞社会で、封建的、差別的、男尊女卑の考えがはびこる中で、ハルモニたちは虐げられてきたはずだ。実際に学ぶ機会も奪われてきた。
金監督は意識的にハラボジを排除したのであろう。その結果、ハルモニたちの歴史とそれを記録し伝える重要性、必要性が強調されている。
この日の上映会、満席の盛況だった。
上映後には監督とハルモニたちが舞台挨拶を行った。
金監督はハルモニたちと多くの人の協力で作品が完成したことを喜び一人でも多くの人にハルモニたちの歩みを知ってほしいと語る。
ハルモニの一人は25年の歴史が映画になることで私たちを日の当たる場所に連れて行ってもらえたと喜んだ。
ハルモニたちは語るだけでなく歌も披露してくれた。
映画はその後も多くの観客を動員したようで、今日の8日まで上映延長されることになった。
今後も各地で上映される。ぜひ映画館に足を運んでほしい。
※ドキュメンタリー映画「アリランラプソディ~海を越えたハルモニたち~」の公式ホームページ
https://arirangrhapsody.com/
作品や監督、上映の情報などの参考にしてください。