サッカー朝鮮代表選手たちのありのままを
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既報の通り、2月25~29日と3月19~22日にかけて、朝鮮の男女サッカー選手団がそれぞれ日本を訪れた。
女子は2月28日のパリオリンピックアジア最終予選の第2戦、男子は3月21日の2026年W杯のアジア2次予選の日本戦(いずれも東京・国立競技場で)。
女子、男子とも惜しくも日本に敗れはしたものの、その姿は私たちに大きな勇気と希望を与えてくれた。3000人の応援団の中にいた人、別の場所で中継を見ながら試合を観戦した人、試合を見られなくても選手たちに思いを馳せ続けた人…日本各地の老若男女の同胞たちに、かれかのじょたちが届けてくれたのは「祖国」だった。
余韻はなかなか抜けなかった。
非常にありがたいことに、試合はもちろん、限られた時間ではあったが監督や選手たちを身近に接する機会に恵まれた。
監督や選手たちの声、その姿をとらえた写真は現在制作中のイオ5月号にて特集で紹介するが、今日のブログで一つだけ改めて押さえておきたいことがある。
それは、
選手たちにも故郷があり、家族や恋人、友人らがおり、暮らしがあるということ。
パリ五輪アジア最終予選で、後半36分に巧みなシュートで得点を決めたキム・ヘヨン選手は会話中に目を輝かせて自慢げに語った。
「私の故郷は南浦です。家から少し足を伸ばすと、西海甲門に行けるんですよ。すごいでしょう? 故郷は私の自慢の街です。いつか遊びにきてくださいね」
寡黙ながらパッと見せる笑顔が印象的な男子チームのキム・ソンヘ選手は、最北端である咸鏡北道の羅先市出身だ。
「実家のアボジ、オモニは私が代表に選ばれたと聞いて最初は信じられないようすでした。でも、活躍を誰よりも喜んでくれた。今度実家に帰ったら、日本で出会った同胞たちのことを話してあげたいです」
試合に負けた悔しさを滲ませながらも「次は勝って見せます」と前を向く姿、同胞たちが差し入れた朝鮮料理を美味しそうにほおばる姿、憧れだという元サッカー朝鮮代表の安英学さんとの出会いを恥ずかしそうに、かつ、とびきりの笑顔で喜んでいた可愛らしい姿、空港に発つバスの中から、見えなくなるまで同胞たちに手を振り続けていた姿…
今回、日本の多くのメディアが、朝鮮チームの健闘や3000の客席を真っ赤に染めた同胞応援団のようすについて称え、積極的に報道していた。しかしその一方で、特にW杯のアジア2次予選の平壌開催中止をうけての一部メディアにおける差別的な報道に違和感を抱かざるを得なかった。
それらの報道の根底にある、「朝鮮だから差別してもいい」「朝鮮人は差別されても仕方ない」と言わんばかりの「蔑視」を目したとき、真っ先に思い出されたのが、試合後に選手たちが見せた素朴な笑顔だった。
朝鮮の選手たちにも、朝鮮の人たちにももちろん故郷があり、家族や恋人、友人らがおり、暮らしがある。この当たり前のことにしっかり目を向けて、想像してほしい。
5月号特集タイトルは「必勝!チョソン(朝鮮)」。
朝鮮の監督、選手たちと同胞らの心の交わりを記録している。乞うご期待!(鳳)