【イオニュースPICK UP】外国籍住民の尊厳奪う永住許可取消制度―移住連、法務省に反対署名4万947筆提出
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「永住者」の在留資格を持つ外国籍住民が税金や社会保険料を納めない場合などに永住許可を取り消せるようにする入管法の改正案が衆議院で審議されている中、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」は5月15日、永住許可の取り消しを容易にする制度に反対する署名4万947筆分(14日正午現在)を法務省に提出した。
この日、衆議院第一議員会館で立憲民主党の石橋通宏議員ら野党の国会議員の立会いの下、移住連の鳥井一平共同代表理事が署名を法務省の職員に手渡した。
移住連は日本政府の永住許可取り消し制度の新設方針に反対する見解を2月に表明。自身が呼びかけ団体となり、同月下旬から紙とオンラインで署名を集めていた。
署名提出に際して鳥井共同代表理事は、「このような法案を提出したこと自体が外国籍住民へのヘイトをあおっている」と指摘。法案の即時撤回を求めた。
現在、在留資格「永住者」を持っているのは 2023年6月末現在、880,178人で、在留外国人の27.3%を占める。そのうち朝鮮籍の永住者は368人、韓国籍の永住者は75403人となっている。
日本政府は永住許可の取消し制度を導入しようとする目的について、「育成就労制度を通じて、永住に繋がる特定技能制度による外国人の受入れ数が増加することが予想されることから、永住許可制度の適正化を行う」と説明している。
移住連は、「永住許可の取消は、外国籍住民が日本で長年苦労して築き上げた安定した生活基盤をはく奪するものだ」と指摘。「病気や失業、社会の変化等により許可時の生計要件を満たさなくなったり、収入の減少や手続のミス等により税金や社会保険料を滞納してしまうといった、誰にでも起こり得ることで在留資格が取り消されるとすれば、外国籍住民は安心して生活していくことはできない。外国籍住民にのみ在留資格取消というペナルティが課されるのだとすれば、これは外国籍住民に対する差別だ」と懸念を表明している。そのうえで、「在留資格取消制度の導入は永住者として暮らす外国人の立場を不安定にするのみならず、これから永住許可を申請しようとする外国籍住民に大きな不安を与えるものであり、政府が目指す『共生社会の実現』にも逆行する」(以上、2月9日発表の声明より)、「このような永住許可の取消しに向けた議論がされること自体が、外国籍住民の尊厳を奪っている」として、政府方針に強い反対の意をを示している。
反対署名は引き続き呼びかけが続けられている。
署名ページ:https://change.org/2024-02-27
(文・写真:李相英)