好吃! 食い倒れ台湾旅⑤ ~歴史に触れる・台南(上)~
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台湾旅行5日目。2日間滞在した台中から特急列車に乗り、台湾の古都「台南」へ向かった。台南は日本の京都のような街で、歴史的建造物や古い建物をリノベーションしたお洒落なカフェやホテル、アート施設など、レトロで可愛いスポットがたくさんある街だ。
まずはガイドブックに載っていた「度小月担仔麺」で昼食をとった。担仔麺とは、小ぶりの汁入り麺料理。どうやらここが担仔麺発祥の店のようだが、担仔麺自体あまり馴染みがないので、どんなもんやと頼んでみた。
美味しかったが小ぶりなため昼食としては物足りない。店を出たあと別の飲食店を探していると、大好きな「鶏肉飯」の文字が…! 店員に早速「內用!(店内で!)」と伝え、注文シートにチェックを入れた。
9日間の台湾旅行。美味しい上に値段が安いため何かしらずっと食べていたが(笑)、旅はそればかりではなく、同行者によるいくつかの目的も含まれていた。
台湾といえば、やはり都市である台北を思い浮かべる人も多いだろう。我々が台南に来た目的は、台湾で唯一存在する「慰安婦記念銅像」を見るためで、同行者が訪れてみたかった場所のひとつだ。ちなみに、台北には「慰安婦」に関する史料を展示している「阿嬤の家(おばあちゃんの家)―平和と女性人権館」という施設もある。
銅像は民間団体「台南市慰安婦人權平等促進協會」が、2018年8月に台湾で初めて設置したもの。土台となる部分には中国語、英語、日本語、朝鮮語(韓国語)で書かれた解説板が四方に設置されていた。
歴史的建造物と現代文化が融合する台南の地に、静かに佇む「慰安婦」像。かのじょが見つめる先はどのようなものなのか―。そう思い立って、かのじょと同じ方向を向いてみた。
すぐ近くには日本統治時代に建てられた「林百貨店」がある。建物には第二次世界大戦時の米軍による空襲の痕跡が多く残されている。
現在はリノベーションされ、お洒落な雑貨や民芸品などを扱う店舗が入っていて、夜にはライトアップされる人気観光スポットだ。多くの観光客に銅像を見て欲しいという思いから、この地に建てられたのだろうか。
日本で買った台湾のガイドブックには、林百貨店の紹介はあれど、目と鼻の先にある「慰安婦記念銅像」の言及は一切ない。ガイドブックに載っていないのだから、存在すら知らない人も多いだろう。まさに「無かった」ことにされている。
行き交う人びとは銅像にすっかり「慣れて」しまったのか、はたまたその存在すら「見えて」いないのか…。写真を撮る我々の姿を通して、やっとかのじょに目を向けた。車の騒音や排気ガスが混じる空間で、時には人々の無関心に晒されながら彷徨う腕は、それらをすべて遮断するかのような、悲しみと怒りを物語っているようにも見えた。
台南に訪れる際はぜひ、かのじょに会いに行ってほしい。
食い倒れ台湾旅⑥に続く…。(麗)