日本と韓国の出生率
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厚生労働省が6月5日、2023年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が1.20だったと発表した。前年から0.06ポイント下がった。
発表があり、新聞各社は解説を掲載している。
毎日新聞(6月5日付)は、1.20という数字が記録のある1947年以降の最低を更新したこと、出生数も前年比4万3482人減の72万7277人だったと明らかにしている。
この問題については、昨年7月13日の日刊イオ「合計特殊出生率の低下に思う」でも取り上げている。
そこで私は次のように書いている。
「子どもを産まない理由として経済的な問題がもっとも大きいだろうけれど、根本的には子どもを産んで育てることに不安を感じている、少なくともメリットを感じないそういう社会になったということなのではないだろうか。」
今回の発表の2日前、朝日新聞は紙面で「進む『超少子化』韓国の今」という記事を掲載した(写真)。
記事では昨年の韓国の出生率は0.72だったと伝えている。日本よりもさらに韓国の出生率が低い。
その要因としてやはり、若者の経済的な状況が苦しいことが挙げられており、「大学を卒業しても3人のうち1人は就職がままならない状況にある…。このため、結婚や出産を望んでも、かなわない若者が少なくない。こうした若者への支援が足りない」と指摘している。
日本や韓国社会の出生率がより下がったということは、ますます社会が生きにくくなっていること、人々の生活が苦しくなっていることの現れだと言える。
今回の発表で、都道府県別の合計特殊出生率で最も低いのは東京都の0.99だった。今日、東京都知事選が告示された(投開票は7月7日)。出生率をいかに上げるのか、子どもを産み育てようと思う社会をいかに作るのかも選挙の争点の一つとなっている。
都知事選の結果にも注目したい。(k)