究極のローアングルを求めて
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「アンニョンハシムミカ―!」「わー!」
カラっと晴れた空の下、子どもたちの元気いっぱいな声が響き渡る―。
イオ8月号の表紙を撮影するため6月某日、東京朝鮮第2初級学校にお邪魔した。同校6年生たちに運動場で走ってもらったり、思いっきりジャンプしてもらったりといろいろなシーンを撮影した。そしてその中から選ばれた表紙がこちらである。
ローアングルでカメラを構え、冒頭のことばを発してもらうよう依頼した。すると、想像を超える勢いで叫んでくれ、こちらもそれに応えるべく幾数枚をファインダーに収めた。撮影しながら楽しい現場であった。ある写真家が「カメラは撮る人を写すんだ」と言ったが、自らが楽しまずしてあの写真は撮れなかったと思う。
最近、それは記事にも言えるのではないか、そう思えてきた。いい記事は書き手の顔が見えてくる。どのような思いで書いているのか、書き手の思いもまた浮かび上がる。
閑話休題。
今回の表紙撮影で意識したのは「ローアングル」である。ローアングルとは、カメラを下から上に向けて撮影することを言う。メリットとしては、被写体を強調して迫力を表現できたり、風景写真でも普段とは違った雰囲気を出すこともできる。さらに脚長効果などもある。今回で言うと、外壁の色が印象的な同校の校舎を背景に、ウリハッキョ(朝鮮学校)で学ぶ元気いっぱいな児童たちの姿を見せたかった。
究極のローアングルを求めて。体が柔軟ではない筆者は、柔軟な姿勢を取ることが困難なため、いかに低い位置から上を見上げる形で撮影ができるのか、試行錯誤をした。実際に編集部で寝っ転がっていると、「筋トレしているのかと思った」といったツッコミも浴びた。そして見出したのは、横たわった体勢で片肘を立ててブレないようにカメラを固定して撮影する形だった。「あれ、これって本当に腹筋に効いているな」と思いつつ当日、懸命に撮影した。
さらに低く。突き詰めていくと「究極」は、腹ばいになって地面すれすれにカメラを位置取り、構えることだ気づくのは少しの後の話。
次号特集は「歌舞団のおしごと」(仮)。踊りもまた撮るアングル(角度)で迫力も見え方も変わってくる。ぜひその撮影成果も刮目あれ。(哲)