【特集】注目！朝鮮歌舞団（カムダン）

在日同胞たちの暮らしのなかには、民族の歌と踊りがあふれています。朝鮮歌舞団結成から60年、団員たちはいつもどんな時も同胞たちの隣で、同胞たちと心を交わしてきました。そして今日も各地で歌の輪、踊りの輪（춤판, チュムパン）を広げています。在日同胞社会の誇り、朝鮮歌舞団の魅力をとくとご覧あれ！

全国の歌舞団、一挙紹介！

全国各地で活躍する歌舞団団員たちの姿を写真で一挙紹介します。

※各歌舞団テータ情報：①団員数、②主な活動範囲、③問合せ先

東京朝鮮歌舞団

①5人
②東京を中心に東日本
③【Tel】03-3691-5492

兵庫朝鮮歌舞団

①2人
②兵庫
③【Email】hyogo.kamudan326@gmail.com

京都朝鮮歌舞団

①5人
②京都、滋賀
③【Email】kyoto_kamudan@yahoo.co.jp

大阪朝鮮歌舞団

７月末、北大阪初級の納涼祭で披露された秦愛里副団長創作の「パッパン舞」

①8人
②大阪、奈良、和歌山
③【Tel】06-6717-5396

広島朝鮮歌舞団

①1人
②中四国
③【Email】hiroshima.kamudan@gmail.com

福岡朝鮮歌舞団

①3人
②九州、山口
③【Email】fukukamu1966@yahoo.co.jp

朝鮮歌舞団の歩み

地域に根ざした文化活動担う

日本各地の朝鮮歌舞団はどのような経緯で結成され、どのような道を歩んできたのか。在日朝鮮人音楽史などを研究する東京外国語大学特別研究員の金理花さんに寄稿いただいた。

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京都朝鮮歌舞団の活動。軽トラックの荷台の上がステージ（撮影年代＝1966年～71年）

어머니조국과 더불어 동포들과 함께
オモニ祖国とともに、同胞たちとともに

インタビュー
大阪歌舞団・趙正心団長

朝鮮民主主義人民共和国功勲俳優であり、全国の歌舞団唯一の才談手※。「幼い頃からおふざけが好きで、人を笑わせることばかり考えてきました。歌や踊りはできません」――この道約40年。大阪朝鮮歌舞団を率いる趙正心団長（56）に話を聞いた。

―歌舞団入団のきっかけは何ですか
１９８５年9月、高3の時に目撃した、共和国創建37年記念大会第2部の大阪歌舞団創団20周年記念公演でした。アコーディオン、チャンゴ、カヤグムなどを用いた、15人ほどの団員らによる素朴な公演に魅了されました。何より漫才。慶尚道方言と済州島方言を話す親戚どうしの誤解と錯覚がテーマでしたが、私はその言葉を全く聞き取れなかった（ちなみに当時、朝高生徒会の国語部長をしていました）。でも、会場のハラボジ、ハルモニたちは涙流して隣の人叩いて机も叩いて爆笑している…　ウリマルでこんなにも人を笑わせられるのかと衝撃でした。それで、入団を希望したのです。歌も踊りもできないので周りからは反対されました。でも「漫才するんや！」と押し切りました。そんな私を歌舞団が受け入れてくれた。
学校では一人だけ、「団長になるくらい頑張れ」と背中を押してくれた先生がいました。…

※才談とは、ユーモア溢れる言葉の掛け合いで観衆たちに笑いを提供する朝鮮の芸術分野の一つ。笑いだけでなく、その内容には常に風刺や教養的価値が込められていることが特徴。インタビュー中にある「漫才」は、上記「才談」の意で使用しています。

追憶―私と歌舞団

同胞に会いにゆく楽しみ

在団期間、兵庫・大阪・京都歌舞団の合同で公演した際の写真（左が羅さん）。「朝鮮民主主義人民共和国　商品展覧会」に関する内容を披露している

元兵庫歌舞団・羅栄華さん（77）

神戸朝鮮高級学校ではカヤグム部に所属し主将を務めた。卒業後、地元の兵庫で朝青（青年同盟）の専従活動家として働いて1年が経った頃の1966年３月に文宣団が結成され、入団することになった。草創期メンバーは５人。その後1年も経たずに歌舞団に改名され、団員は多い時で15人ほどいた。カヤグムからチャンゴの演奏、詩朗誦、才談、歌に舞踊と何でもした。当時、同胞社会でカヤグムが流行しており、各地域の女性同盟や朝青のカヤグムサークル、朝高でよく指導をしていた。…

 

ら・よんふぁ●1947年大阪府生まれ。1966～1973年まで兵庫朝鮮歌舞団。カヤグム責任者だった。2014年の発足から23年まで「兵庫朝鮮歌舞団後援会」会長を務め、現在は顧問。

 

矜持とともに抱く信念

1970年代、同胞たちの花見で・チャンゴを叩いている青年が若かりし頃の具さん

元京都歌舞団・具用九さん（72）

初級部の頃、当時家の目の前にあった総聯本部で週1回、同胞たちのノレソジョがあった。講師が奏でるチャンゴの音が心地よくて、よく見学しに行った。実際にチャンゴも叩かせてもらったが本当に楽しかった。それから中・高と吹奏楽部に所属。卒業後すぐに京都歌舞団に入団した。当時の団員数は15、6人ほどで、男性6重唱や演劇もできた。…

 

く・よんぐ●1952年滋賀県生まれ。1970～2010年まで京都朝鮮歌舞団、85年から団長。カヤグム、コムンゴ、チャンゴ奏者。朝鮮民主主義人民共和国功勲俳優。

 

ルポ・歌舞団のお仕事　歌、踊り、人の輪繋ぐ

日本全国6つの朝鮮歌舞団。今も昔も同胞たちに寄り添い、同胞たちと喜怒哀楽をともにしてきた。団員たちは何を思い、歌い、踊るのか。その仕事に迫る。

伝統、守り抜く

6月16日、東京朝鮮第９初級学校。「新宿同胞の日」として集った老若男女の耳目が東京歌舞団の「舞台」に集まる――。
前日夕方から公演準備のために集まった5人の団員たち。「５代目」を迎えた歌舞団バスから音響機材を降ろし設置していく。より良い音を出すための細かな調節を怠らない。今回の「舞台」は、砂のグラウンドにブルーシートを固定させた。
舞踊手の河柚里さん（19）は言う。「学生時代は大舞台しか経験してこなかったが、歌舞団に舞台の大小は関係ない。同胞たちが喜んでくれて、近くで温かい声をかけてくれるのが何より嬉しいです」。…

人と人とのつながり広げ

日本のアーティストとのコラボ公演なども行い活動の幅を広げ続ける（京都歌舞団提供）

6月某日、京都朝鮮初級学校付属幼稚班の園児たちを対象に、京都歌舞団による「アリラン教室」が行われていた。
副団長で歌手の呉明姫さん（36）曰く、始まりは２００８年。京都朝鮮第１初級学校（当時）の教員の依頼で幼稚班の園児たちに「アリラン」を教えに行ったのが始まりだった。それから徐々に朝鮮の民謡、チャンダンの習得とレベルアップし、活動範囲は京都と滋賀の朝鮮学校幼稚班に広がっていった。現在は各校月1回のペースで行われている。「例えば公演で、立ち上がって踊る高齢同胞たちと座ったままの若者たちとで観客が分かれることがあります。1世のオッケチュムを記憶する人がどんどん減ってきていると思う」（呉さん）。だからアリラン教室なのだ。子どもたちが民族の心を養う大切な時間だ。…

「ウリ歌舞団は日本市民や海外の方々に向けた公演も活発に行っているんですよ」―福岡歌舞団の朴梨銀さん（26）は得意げに教えてくれた。同歌舞団主催の企画公演も特徴的で、さまざまなアーティストとコラボしている。「ウリ芸術、舞踊のすばらしさをより強く実感するようになりました」（朴さん）。7月の取材の際も、約3週間後に控えた福岡歌舞団ファンクラブ企画ランチ会の公演準備に励んでいた。
そんな朴さんと歌手の徐美香さん（26）は２０１８年入団の同期で、朝鮮大学校までともに学んだ幼馴染だ。…

原点で、種を蒔く

全盛期は各地で15、6人の団員数を誇っていた朝鮮歌舞団。今日、1人または2人で地元の歌舞団を必死に守っている団員たちもいる―。
たった１人、鏡の前に立つ広島歌舞団の黄玲実さん（23）。体をほぐし、基本動作。そしてスマホで動画撮影をしながらサンモの練習を繰り返す。
２０１９年の入団時は非専従メンバーもいたが、コロナ禍に直面してからは黄さん一人に。それでも活動の火を絶やさず、広島歌舞団を守ってきた。…

兵庫歌舞団は２０２１年に休団を余儀なくされた。団員数ゼロになった歌舞団に翌年、舞踊手の白聖蘭さん（25）が入団し、切れかけていた一本の糸がつながれた。他地域の歌舞団での活動も考えたが、「自分が育ってきた地域に恩返しをしたい」―原点への思いは消え去らなかった。…

１年３６５日、同胞たちと

7月27日、大阪市の最高気温は35度に上った。この日は北大阪朝鮮初級学校の校舎改修後初の納涼祭。厳しい日差しが照りつけるなか、大阪歌舞団団員たちが滝のように汗を流して準備に当たっていた。
「母校でのイベントは格別です」と歌手の金詩温さん（24）。高音チョッテ奏者でもある。民族楽器は同校初級部4年から朝大まで極めてきた。「自分の持ち味で同胞社会に貢献したかった。歌舞団の仕事は、まさに私がしたかったこと」。経験豊富な先輩が退団し、精神的に不安な頃もあったが、同じ歌手で唯一の男性団員である姜尚寿さん（23）と力を合わせ、歌のレパートリーを増やしていった。…

アイラブ♡歌舞団

全国には朝鮮歌舞団を熱烈に応援している人びとがたくさんいます。また歌舞団の活動を支える後援会やファンクラブも存在します。
歌舞団を一途に愛してきた皆さんの声を厳選して紹介します。

推しは姜侑里団長

朝鮮歌舞団の「推し活」をしています。きっかけは2021年。コロナ禍の中、YouTubeで京都歌舞団の公演映像を見て、初めて歌舞団の存在を知りました。…

金暁莉さん（大阪中高高級部２年、17）

後援会・ファンクラブ等情報

東京

東京朝鮮歌舞団ファンクラブ

【会員特典】オリジナルカレンダー、公演の際に割引が効くメンバーズカード 、情報誌
※特別会員（10口以上）の方からの公演依頼があった場合は、基本公演費から1割引いたします。（1年契約／年1回のみ）
【会費】1口500円（1ヵ月）とし、月払い、半年払い、年払い制
【申込み・問合せ】Tel 03-3691-5492／Fax 03-5539-4285／ Email Kamudan_tokyo@yahoo.co.jp

京都

KYOTOうりかむ
～和(ハーモニー)～

【会員特典】会員価格でチケット購入、会報（紙面）、会員たちの自主企画文化イベントの宣伝など
【会費】一般会員：3000円、サポート会員：10000円、法人会員：100000円※いずれも年間、一口・複数口可
【申込み・問合わせ】
Email：urikamu@kamudan-kyoto.com
うりかむ公式LINEアカウント→（QRコードより）

大阪
大阪朝鮮歌舞団を応援する会
「얼씨구（オルシグ）」

【会員特典】オリジナルバースデーカード、オリジナルカレンダー、情報誌など
【会費】月額500円（１口）〜
※２口以上お申し込みの方には、オリジナルクオカード（300円）プレゼント
【申込み・問合わせ】TEL/FAX：06-6717-5396、Email：tiha2008613@yahoo.co.jp

兵庫

兵庫朝鮮歌舞団後援会

【会員特典】年に一度の歌舞団だより、誕生日カード発行
【会費】1口500円（月払いから可能）
【申込み・問合わせ】TEL：078- 646- 9180

福岡

福岡朝鮮歌舞団ファンクラブ「福カム」

【会員特典】福カム便り(年2回)、年賀状、会員カード配布、会員のためのイベント開催、特別会員の方は年に一度新年会企画
【会費】一般会員：1000円、団体会員：5000円、特別会員：10000円
【申込み・問合わせ】TEL：080-3906-9791

以上が記事の抜粋です。全文は本誌９月号でご覧ください。

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