文章指導
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雑誌の編集長になって日々、他人の文章を読んで添削している。編集部員の原稿、外部筆者の原稿、ストレートニュースからルポ、エッセイにいたるまで、他人が書いたさまざまな種類の文章を適切に直すという作業はいうほど簡単ではない。
ここで気をつけているのは、「悪文を載せない」ということ。天下の名文である必要はないが、少なくとも、読みにくい文章、意味の通じない文章は載せてはいけない。そのために前提となるのは、文法的に正しい文章を書くこと。そのうえで、読み手が読みやすい文章、書き手の言わんとすることが過不足なく読み手に伝わる文章を書くよう心がける(文法的に正しくても、読みにくい文章、意味の通じない文章はある)。
ひとつの文章が長すぎる、主語と述語がねじれている、主語が迷子になっている、重文や複文を多用するな、修飾語は最小限に、紋切り型の表現はなるべく避けよ―。
日々上がってくる原稿をチェックしながら、書き手に偉そうに文章指導をするのだが―。
先日、自分自身が書いた文章をある人物に見てもらったのだが、普段他人の文章を添削する立場の人間が犯してはいけないミスをいくつか指摘された。文中に「ら抜き言葉」まで入っていて、「これは恥ずかしいな」と赤面した。
このチェックがなかったら文中のミスのうちのいくつかは見逃され、そのまま活字となって印刷されてしまったかもしれないと思うと、恥ずかしさの後に恐ろしさが襲ってきた。
人様の文章を指導するお前の実力はどうなんだ―。日々勉強しかない。(相)