祖父のお墓参り
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先日祖父のお墓参りに行ってきた。朝鮮ではなく、実家から少し離れた小高い山の中に祖父の墓はある。
祖父は昔、南の地から裸一貫で海を越え、渡ってきた。幾度となく、住む場所を変え、最期の時を迎えるまで定住した地がいまの私の実家がある場所だ。
数年前、私の父母たちが祖父の故郷に初めて行くことができた。その時初めて、祖父がなぜ日本のこの地に定住したかを悟ったと父が教えてくれた。
祖父の故郷に行くと、そこは日本の定住の地とよく似ていたのだという。祖父は南の故郷の面影を探してこの地にたどり着いたのだ。
祖父は生前、故郷には一度も帰れなかった。北南首脳会談実現の直前である2000年の2月に亡くなった。
故郷に行くことを終生望んでいた祖父にとって、一番喜ばしいニュースを聞かずに逝ってしまった。
どんなにか望んでいた祖父の夢は今はとてもたやすく実現できてしまう。
祖父はいないのに。
そのことがとても悔しかった。
祖父の墓からは私たちが今住んでいる場所を一望できる。故郷と似ているというこの風景を見る度、私もいつか必ず祖父の故郷に訪れたいと思わずにいられない。(愛)