厳菊地さんのうた
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厳菊地(オム・グッチ)さん。
かつては金剛山歌劇団屈指の人気民謡歌手でした。
私のとある知り合いが、厳菊地さんの歌が入ったカセットテープを手にしながら、
「これはいっぺん聴いてみな。この人は本物だから」とすすめてくれたのが印象に残っています。
それからかれこれ6、7年ほど経ってから、私は彼のメモリアル・アルバムに出会いました。
わくわくしながら家に帰って聴いてみました。
期待通り、のびがあってしなやかでいて、民謡独特の「フン(興とでもいうのか)」があって思わず聴き惚れてしまいました。
「ニルリリ」などの代表的民謡に加えて、かつて同胞社会で広く親しまれていた
「チョグゲ ヨンイェルル ピンネヨガリラ」「アドゥルチャラン タルチャラン」などの曲もエネルギッシュな時代の勢いを感じました。
CDに収録されたのは1991年にあった独唱会。
約20年前で私は初級部に上がりたてでしたが、ふとその時のことを思い出しました。
今とはまた全然違ったなぁ、と。
このアルバムの素晴らしい点は、独唱会のようすがそのまま収められているところ。
会場でのトークもカットなしで収録されていて、それがまたなんとも言えず良かったです。
すべて聞き終えた後、歌詞をのせた「歌」に勝るものはないのかな、と思いました。
自分は楽器で音楽をやっていましたが、楽器で表現するためにも、究極的には歌えなければいけない。
そう指摘され、かつて人知れず民謡の練習もしたりしたわけですが。
本当に心からうたった歌は、いくら時間がすぎようと、こんな風に誰かの心に響くんだなと、感動しました。胸がすーっとするようでした。
これから、ことあるたびに、厳菊地さんの歌を聴きかえそうと思いました。
みなさんも、是非一度ご拝聴を…。(里)