いのち
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18日に衆議院本会議で臓器移植法改正案が可決されたとの報にまっさきに思い浮かんだのは、昨年公開された映画「闇の子供たち」(原作・梁石日)のラストシーンだった。
この法律は「脳死を人の死」とし、脳死になった人の意志が不明でも家族の同意があれば、15歳以下の子供からも臓器の提供を受けられる、というものだ。
映画の舞台はタイと日本。幼児売春と臓器提供組織が一体となって、元気な少女を生殺しにして日本の患者に臓器移植手術を行うという恐ろしい話だ。
売春の過程で病に犯された少女が、黒いビニール袋に放り込まれ、ゴミとして捨てられる。
「児童買春」「臓器移植」を記号のようにしか認識していなかった私は脳天を突かれるほどの衝撃をうけ、この世界に葬り去られるいのちがあることを知った。
買春を強いられる子どもたちは牢獄で生活し、欧州やアジアからやってくる大人たちの強欲に蝕まれていく。ホルモン注射を大量に打たれ、命を落とした少年の、あどけない表情が忘れられない。
愛する人の命を救いたい、という思いは、誰も否定できない。
しかし、それが誰かのいのちと引きかえになっている現実があると知った。
「いのちの序列化」はすでに始まっている。(瑛)
Unknown
「いのちの序列化」はすでに始まっている。という言葉が響きました。
同感です。