子ども(祖国訪問記14)
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久しぶりに自分の目で見て、祖国はさまざまな部分で変化していたが、ひとつ大変うれしかった変化がある。祖国に来てしばらくたって気がついたことだが、子どもの数が明らかに多くなっている。特に3歳以下の幼児の姿をよく見る。統計を調べたわけではなく、あくまでも筆者の感覚として増えたと書いているのだが、確信がもてる感覚だ。
平壌市内を車で走ってもたくさん子どもたちが走り回っているし、幼児をおぶって歩く婦人の姿も多い。平壌だけでなく地方へ出かけても目に飛び込んでくる風景は同じだ。妙香山には子どものための野営所があることもあり、子どもが多すぎて登山をするのに渋滞になってしまうこともあった。大安重機械連合企業所で朝鮮歌舞団が公演を行ったときに2000人ほどの人々が集まったが、そのうち100人ほどは子どもだった。連合企業所のなかに託児所があるのかどうかはわからないが、とにかく労働者が職場に子どもを連れて働いているようで、素敵なことだと思った。
日本のいまの出産率は1.3ちょっとだと思う。ここ1~2年、若干の上昇はあるようだが、ひじょうに低い。人々が子どもをあまりつくらないのにはさまざまな理由があろう。が、年間の自殺者が3万人を越える、社会保障の現場がどんどん破壊していく状況で、安定した家庭をなかなかもてないこと、将来に対する直感的な不安があることが、理由の根底にあると思っている。
祖国で子どもの数が増えているとしたら、社会がより安定してきたということであり、人々が将来に対して希望をもてるからであろう。安定と希望、それは祖国に来て確かに実感できることだ。日本のマスコミ報道がいかに無責任でデタラメなのかということ。(k)